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【未年に翔ける】出光興産社長・月岡隆さん(63)

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【未年に翔ける】出光興産社長・月岡隆さん(63)

更新

 ■競争力高めながら原油処理能力削減

 --原油価格の急落は海外事業に影響しないのか

 「カナダ西海岸からの液化石油ガス(LPG)、液化天然ガス(LNG)のアジア向け輸出・販売事業を進めているが、影響は出ていない」

 --LNG輸出は

 「2017年開始という当初の計画達成を目指す。基地は洋上に設置する予定で、既に事業化調査は終了している。建設コストが課題だが、この事業はカナダの市場から調達した安価なエネルギーをアジアに結びつけるのは資源に乏しい日本にとって意義が大きく、販路拡大を目指すカナダのニーズにも合致している。なんとしても成功させたい」

 --14年3月に石油精製を停止し、化学事業の主力拠点となった徳山製油所(山口県周南市)の今後の活用は

 「ナフサ受け入れ基地など既存のインフラを生かしたい。石炭事業の貯蔵基地も近くにあり、発電事業を共同で行うパートナーがいれば、協力も考えたい」

 --16年の電力全面自由化を見据え、九州電力や東京ガスと千葉製油所(千葉県市原市)周辺で発電所を建設するプランは

 「両社とは何も決めていない。千葉製油所を中心としたエリアの活用には他の企業も注目しており、さまざまな提案が出されている。徳山製油所もそうだが、ここにカナダ産LNGの受け入れ基地を建設することも有効なアイデアだ」

 --電力事業の強化は

 「全面自由化で価格競争力が求められ、省エネも進む中、電力事業が大きな商機となるかには疑問がある。以前から、大分で九州電力と地熱発電の滝上発電所を共同運営している。日本は地熱発電の潜在能力の1割も発揮していない。エネルギーの自給自足に貢献したい」

 --国内ガソリン需要の低迷で、業界全体で原油処理能力の1割削減を17年3月までに求められている

 「千葉は製油所が集積しており、エネルギー供給の観点から、少しぐらい処理能力を落としても、当社と日本全体にとっても影響は軽いのは確かだ。重要なのは、いかに競争力のあるコンビナートにするかだ。全体像を描かずに削減しても、同じことの繰り返しだ」

                   ◇

【プロフィル】月岡隆

 つきおか・たかし 慶大法卒。1975年出光興産入社。執行役員、常務執行役員、取締役、常務取締役などを経て、2012年副社長。13年6月から現職。東京都出身。

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