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【軍事情勢】戦争メーカー 朝鮮半島の迷惑度

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【軍事情勢】戦争メーカー 朝鮮半島の迷惑度

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 韓国は歴史に学べない。歴史を粉飾する余り、虚実の境目を自ら判別できぬのだから、宜(むべ)なるかな。韓国メディアは、安倍晋三政権が実現を目指す集団的自衛権行使に対し「軍国主義復活」と強く非難する。しかし、この非難は「国家の自殺」に等しい。自身の愚行で、国を亡ぼす歴史を繰り返すのか-。

 その弱さが生む厄難

 米国は歴史に学んでいる。例えば、朝鮮戦争(1950~53年)では《力の空白》がいかに危険かを体得した。ディーン・アチソン国務長官(1893~1971年)が共産主義封じ込めを企図し「米国の不後退防衛線はアリューシャン列島~日本列島~フィリピン」だと言明した、いわゆる《アチソン・ライン》。米国の断固たる姿勢を強調したつもりだったが、朝鮮半島はじめ台湾やインドシナなどへの介入について、明確な意思表明を行わなかった。実際、朝鮮半島には少数の軍事顧問団を置いただけ。侵攻された後に、部隊を派遣する戦略を描いていたようだ。結局、北朝鮮の「米国には韓国防衛の意志無し」との野望を惹起(じゃっき)させてしまう。

 米韓軍は半島最南端・釜山に追い詰められた。形勢逆転する仁川上陸まで死守できたのは、日本占領用に駐屯していた米陸軍4個師団の急派による。

 米国は学習した。世界各地に平時より即応部隊を置き、抑止力としたのである。今尚、在日米軍基地の兵力・兵站集積地としての戦略的価値は微動だにしない。そこに自衛隊の支援が加われば、米軍戦力は飛躍的に向上する。日本が集団的自衛権を行使できないと、在韓米軍も力を存分に発揮できないのだ。

 朝鮮戦争でもう一つ、北朝鮮が前のめりになったのは韓国軍の弱さだった。確かに、米軍も戦車といった先端火力を、韓国軍の要請にもかかわらず供与しなかった。だが、韓国軍は大日本帝國(ていこく)陸軍で教育・訓練を受けた韓国人将兵を除き、士気・錬度共に低かった。現在の韓国軍も同じ欠陥を抱える。生死を共にするかもしれぬ在韓米軍の不安には同情を禁じ得ない。

 朝鮮半島の政治・軍事上の弱さ、即ち《力の空白》により、日本も度々国家存亡の危機に追い込まれた。その自覚が無い韓国は“歴史的被害者”を演じるが、日本もまた「弱い朝鮮半島」の被害者である。

 安保上必然の日韓併合

 朝鮮半島最後の王朝・李氏朝鮮(1392~1910年)は中国の明/清朝から冊封(名目的君臣関係)を受け続けた。一方、朝鮮半島は日本にとり国防上の最重要拠点。清の影響を受けない、近代化した完全な独立国家の誕生は朝鮮にも、日本にとっても理想的安全保障環境であるはずだった。従って、日清戦争(1894~95年)に勝った日本は、清への講和条約の筆頭に、国際慣行にならい敗戦国が支払う賠償金や割譲する領土を記すのではなく、朝鮮独立を掲げた。

 ところが樹立された大韓帝國の国民は、国土荒廃による慢性的食糧不足や貴族・役人による既得権益の不正独占/汚職で、極貧に喘いだ。インフラは整備されず、衛生・教育状況は劣悪で、国家運営の気概も無し。そればかりか皇帝・高宗(1852~1919年)は欧米列強に、鉱山採掘や鉄道敷設、軍の教育訓練などの権利を売り渡す。日清戦争で多大な犠牲を払った日本の悲憤は大きかった。そもそも、清軍が漢城(現ソウル)に侵入し、清領になる寸前だったことで開戦となった。このときも、後にロシアが侵入してきたときも、朝鮮人は戦わなかった。

 統治・国防能力無き国家は、南下を目論(もくろ)むロシアの格好の標的だった。だのに、大韓帝國はロシアに擦り寄る。こうした大韓帝國の惨状・背信に耐えられず、日露戦争中の第一次日韓協約(1904年)で、日本人顧問の政府中枢配置を義務付ける。日露戦争終結後の05年には、二次協約で外交権を、07年の三次協約で内政権も、それぞれ日本に移管した。斯くして10年、大韓帝國は日本に併合された。

 「排日事大主義」を堅持

 高宗の外交上の無礼や国際感覚の欠如が、大韓帝國を滅亡させた、とも言える。一次協約を破棄せんと高宗は、あろうことか日本と交戦中のロシアをはじめフランスや米国、英国に次々と密使を送る。よもや日本が、ロシアに勝てるとは思ってもみなかったのだろう。外交案件につき日本との協議を定めた一次協約の明らかな違反。二次協約で日本の保護国になった後も協約無効を訴え、英仏などに親書を送った。07年には、オランダで開催中の万国平和会議にまで密使を派遣、外交権回復を訴えようとしたが、国際社会は会議参加すら拒絶した。米英露など列強が、日本の大韓帝國に対する排他的指導権=保護国化を、既に相次ぎ承認していたためだ。

 大韓帝國の存在は半島を不安定化させ、日本を三度目の戦争に巻き込むとの認識を、米国など国際社会が共有した結果でもあった。三次協約にまで発展する流れは、むしろ大韓帝國自らが呼び込んだ。併合にいたっては、反対していた初代韓国統監・伊藤博文(元首相/1841~1909年)を暗殺し、併合論を勢いづかせた。

 今も昔も、朝鮮半島は日本の誠意や底力を見誤り、自ら墓穴を掘ってきた。それでいて、隷属を強いてきた中国など、日本以外の大国には媚(こ)びへつらう「排日・嫌日事大主義」は堅持する。朴槿恵(パク・クネ)大統領(61)は恒例の訪日を避け続け、米国の次に中国を訪れた。日韓共通の同盟国・米国ではバラク・オバマ大統領(52)に「北東アジアの平和のためには、日本が正しい歴史認識を持たねばならない」と、米韓首脳会談にはそぐわない話を持ち掛けた。9月にはチャック・ヘーゲル米国防長官(67)にも同種の話をたたみ掛け、当惑させた。小学校低学年時、教室で飛び交った言葉を思い出す。

 「いーけないんだ、いけないんだ、先生に言ってやろっ」

 ただ“大人の付き合い”を期待できる人物もいる。韓国軍制服組トップの合同参謀本部議長・崔潤喜(チェ・ユンヒ)海軍大将(60)は、増大する北朝鮮の核・ミサイルの脅威に対抗せんと「政治とは切り離して、軍事的に必要な部分は日本と互いに協力できるよう交流すべきだ」と述べた。「中国の軍事拡大が域内安全保障の懸念として台頭している」とも語っており、《力の空白》がいかに隣国に迷惑を掛けるか、理解しているようにお見受けする。(政治部専門委員 野口裕之/SANKEI EXPRESS

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