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【エコノナビ】五輪で「テーマパーク日本全国」に

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【エコノナビ】五輪で「テーマパーク日本全国」に

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 作家、有川浩(ありかわ・ひろ)氏の小説「県庁おもてなし課」は、高知県庁にある実在の「おもてなし課」をモデルに、「高知県レジャーランド化計画」実現に奔走する職員らを描いた。

 昨年(2013年)5月に映画化されたこともあり、全国の自治体からこの小説をテキストにして研修をしたいとの依頼が数多く寄せられたそうだ。

 その後、「おもてなし」は、2020年東京五輪の招致が決まった国際オリンピック委員会(IOC)総会で、フリーアナウンサーの滝川クリステル氏が紹介し、決め手の一つになったともいわれ、昨年(2013年)の流行語大賞に輝いた。

 その東京五輪で日本は今春、大会組織委員会を立ち上げ、6年後に向けて本格始動した。4月2日から4日まで、IOC調整委員会との最初の会議も開かれた。その際、調整委員会のコーツ委員長は記者会見で、「東京大会が後世に何を残すことができるのか、楽しみだ」と語っていた。

 組織委員会の明確なテーマ設定はこれからだが、重要なのはまさに「後世に何を残せるか」だろう。そして、高度経済成長時代の前回の東京五輪との違いを明確に認識することだ。それは、多くの箱物施設を残すことではなく、少子化・高齢化の日本の未来を克服する上で役に立つ社会システムをつくり上げることだ。

 例えば、「海外からの大会観戦者を地方に集客し、リピーター化することで持続的な創造型需要の拡大につなげる観光立国の実現」(三菱総研マンスリーレビュー2014年1月号)などは必須の目標だろう。

 有川氏は「県庁おもてなし課」の中で登場人物にこんなせりふを語らせている。「元からあるもんの売り方を変えるというだけのことやけどにゃ」(角川文庫 214ページ)。すでにある観光資源をどう生かすか。意識の変換だけでも観光イメージを刷新できるとの考え方だ。

 「めざせテーマパーク日本全国!」。有川浩氏が文庫本のあとがきの最後にぶちあげた目標をフィクションのままにするのはもったいない。(気仙英郎/SANKEI EXPRESS

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