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六大学野球71連敗…ワースト更新 Fight東大!「いずれ結果」
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屈辱をかみしめながら、激励の拍手を送る一塁側スタンドに向かって頭を下げる東大ナイン。不名誉な記録を更新したが、失う物は何もない。勝利を信じ、当たって砕けるだけだ=2014年5月3日、東京都新宿区・神宮球場(今井正人撮影) 5月3日に神宮球場で行われた東京六大学野球春季リーグで、東大が早大に0-11で敗れ、2つの引き分けを挟む連敗が71に伸び、リーグワースト記録を更新した。東大は2010年10月の秋季リーグで当時4年だった早大の斎藤佑樹投手(25)=現日本ハム=を攻略して勝ったのを最後に白星がなく、現役選手は勝利を経験していない。1925(大正14)年のリーグ創設以来の通算成績は244勝1545敗55分け。連敗が止まる日はいつなのか。「朝の来ない夜はない。胸を張って戦え!」。スタンドからは肩を落として引き揚げる東大ナインに励ましの言葉がかけられた。
力の差はいかんともし難かった。東大は、一回に早大・武藤の2点本塁打で先制を許し、その後も小刻みに加点され、計14安打で11点を奪われた。打っては早大3投手の継投の前に3安打で、10三振を喫した。
有井祐人(ありい・ゆうと)主将は「不名誉な記録をつくって情けない。応援してくれている人に申し訳ない」と唇をかみ、浜田一志(かずし)監督(49)は「悔しいの一言。努力は自慢できるくらい重ねているが、なかなか野球の神様に認めてもらえない」と話した。
好機もなかったわけではない。2点を追う二回には、初馬(はつま)が早大先発の有原から148キロの直球を中前にはじき返し、二盗と内野ゴロで三進。しかし後続が倒れ「1点でももぎ取りたかった。ホームを踏めず残念」と初馬は悔しがった。
今季はここまで1試合平均得点は0.4に対し、失点は9.6。浜田監督は「有原君を想定してマシンで150キロの速球を打ち込み、できる限り守備練習もしたのだが…」と苦悩の表情を浮かべた。
東大野球部が連敗記録を更新したことは、他校との戦力差が近年さらに拡大している事実を物語っている。東京六大学リーグは1990年代に入って一時地盤沈下し、甲子園のスターたちも集まらなくなっていたが、東大以外の5校は近年、スポーツ推薦に力を入れ、リーグは全国屈指の強豪集団へと復権している。東大に通算83敗と最も多く負けている立大も2008年度に「アスリート選抜入試」を導入、1弱の様相に拍車がかかった。
東大も何もしていないわけではない。東大に合格者を出すぐらいのレベルの全国の進学校で、野球部が各地区予選でベスト8に入れるような高校があれば、選手たちに声をかけ、東大野球部入部希望者を募って毎年夏に練習会(体験入部)を実施。さらに希望者には家庭教師の派遣も行い、東大受験をサポートしている。しかし、昨年(2013年)は63人が夏の練習会に参加したが、難関入試を突破して今春入部したのは2人だけだった。
とはいえ、90年近い歴史のリーグに東大の存在は不可欠だ。神宮球場でのプレーに憧れ、最難関の受験を勝ち抜いた選手が甲子園出場組に挑み続ける特異な構図は他に類例がなく、東京六大学野球の大きな魅力である。
1994年に東大が年間8勝した時の主務で、現在、開成高(東京)で監督を務める青木秀憲氏は「うまくなるための努力を続ければ、いずれは結果が出る。東大で高いレベルの選手が育てば、そのノウハウは高校や中学にとっても参考になる」と後輩たちを励ましている。(SANKEI EXPRESS)