初の開催となるイベントには、観光産業のみならず他産業も参加し、特色あふれる全国各地の力を集結させる。さらに、観光庁がビジット・ジャパン事業の一環として主催する訪日旅行商談会「ＶＩＳＩＴ　ＪＡＰＡＮ　トラベルマート（ＶＪＴＭ）２０１４」も並行開催され、国内旅行、海外旅行および訪日旅行商談会を一堂に集めて、国内外に観光立国日本をアピールしていく。

　世界では１０億人の旅行者が動く中、現在、日本には１０００万人、アジア全体では２億３０００万人が訪れている。同イベントでは、日本のみならずアジア各国・地域やＡＳＥＡＮなどと協力してこの数字を底上げを目指す。主催者である菊間潤吾ＪＡＴＡ会長は「旅行業界以外の皆さんにもこのイベントに参加していただくことで、観光をもっと視野の広い形で捉えてもらい、みなさんと一緒に観光を発展させる方向について考えるチャンスになれば」と話す。

　展示会など４プログラム

　イベントは「新しい旅が始まる。」をキャッチフレーズに、日本全国、世界１５０カ国を超える国と地域の最新の旅情報が得られる「展示会」、会議棟で行う最新の旅行市場動向について討議する「国際観光フォーラム」、国内外のサプライヤーと旅行会社による「商談会」、旅行需要の喚起に貢献した企業、団体、個人や優れた旅行商品を表彰する「顕彰事業」の４つのプログラムが組まれている。

　「展示会」には、国内は北海道から沖縄までほぼ全ての都道府県や航空、鉄道、ホテル、テーマパークなどの様々な企業が、また海外からは欧米、アジア、南米などが出展。各ブースでは、ツアー商品や物産の販売、体験アトラクションが行われるほか、ステージパフォーマンスも見どころ。匠（たくみ）による伝統工芸の実演や日本各地からご当地丼などが集結するグルメ企画が予定されている。

　「国際観光フォーラム」では、国際的な観光機関であるＵＮＷＴＯ（国連世界観光機関）との連携で、事務局長・ダレブ・リファイ氏が基調講演を行うほか、成長するアジア旅行市場分析をテーマにしたシンポジウム、国内、海外、訪日のそれぞれの旅行市場を題材にしたシンポジウムが実施される。

　「商談会」では、国内外から数多くのサプライヤーが集まり、旅行会社も参加して、アウトバウンド（外国訪問者）商談会と、国内旅行商談会が行われる。

　「顕彰事業」では、旅行需要の喚起に貢献した企業、団体を表彰する「ＪＡＴＡツーリズム大賞２０１４」や、優れた旅行商品を表彰する「ツアーグランプリ２０１４」、また、国内観光地への誘致に貢献する観光ポスターを表彰する「日本観光ポスターコンクール」を実施する。

　また、開催初日には各国の大使を招待して前夜祭「ＪＡＰＡＮ　ＮＩＧＨＴ」を東京国立博物館で開き、日本文化を体験してもらうという。

　前出の菊間会長は「諸外国では首都を巡るとき必ず国立博物館から回るが、これまでの日本はそうではなかった。縄文から江戸時代までの展示物をみてもらい、日本の歴史や文化、おもてなしについて知っていただくきっかけにしたい」と語る。一方で国内の観光事業者には「観光地の情報発信では、インターネットで済んでいるし、ただブースを出してパンフ配布するだけではだめ。訪れた人にミニ体験をしていただく。世界はどういう発信をしているのか学ぶ機会にしてほしい」と発破をかけることも忘れない。

　４日間で来場者１５万人へ

　菊間会長は「今年は、世界に向けてきちんと発信できる会議の構成やさまざまな工夫を凝らして、国際旅行市場での日本のプレゼンスを高める機会にできればいい。訪日旅行者数の規模では小さいかもしれないが、渡航自由化５０周年を迎える日本は、ヨーロッパやアメリカと並ぶ世界の先進国として位置づけられていることも事実。このイベントがアジアを代表するものとして、世界に向けてアジアを発信する場になっていくことは、国際的な要請でもあると思う」と語る。

　来場者は１５万人を見込むビッグイベント。「１年では難しいかもしれないが、２～３年かけて本当の意味でのオールジャパン体制をどう実現するか、どのように各コンテンツを発信していくか考えていきたい」。２０２０年には東京五輪開催を控え、ますます観光需要の高まりが予想される日本をアピールする重要なイベントとなりそうだ。（ＳＡＮＫＥＩ　ＥＸＰＲＥＳＳ）

　【ガイド】

　■ツーリズムＥＸＰＯジャパン２０１４　＜会期＞２０１４年９月２５～２８日の４日間（一般は９月２７日、２８日のみ）。＜会場＞東京ビッグサイト東展示棟、会議棟。＜当日券＞大人１３００円、学生７００円。＜前売り券＞大人１１００円、学生６００円。※保護者同伴の小学生以下、中高生は無料