先日、お仕事で長塚圭史さんとプロデューサーさんや編集さんたちとお食事をしました。長塚さんは身長が180センチ以上あり、かっこよくて気さくな方で、初対面の私にもいろいろと話かけてくれました。お店は、恵比寿のイタリアン。長塚さんに「平松さんは何がいい?」と聞かれ、私は困ってしまいました。実は私、大勢でシェアする場合のメニューが決められないのです。食事の順番、みなさんの好みなど気にし始めたらきりがなくて、頭が痛くなるのです。私が食べたい物が、はたしてこの場にあっているのか?とどんなに考えても自信の持てる答えが出てこないのです。食材やお料理の名前も全く覚えられません。長塚さんの雰囲気があまりにもおおらかでしたので、つい、「私、決められないんです。いつも、彼に決めてもらって、料理の取り分けもできないし、全部やってもらってるんです」と、ボロが出る前に先に正直に言ってしまいました。すると長塚さんは、私にお料理を全部、取り分けてくださったのです。本当に優しい方だなって、うっとりしていましたら、長塚さんの目が徐々に光りだして、演出家モードに…。
長塚さんが取り分けてくださったお肉の固まりを上手に切れなくて、ノロノロしていましたら、「平松さん、お肉を見て切ってください」と言われました。なかなか切れないものですから、お隣の席の編集さんのお話を、お顔を見ながら聞いて、お肉をずっとナイフでゴシゴシこすっているような行動になっていたのです。
帰りに、編集さんに和久傳(わくでん)の西湖をいただきました。れんこんと和三盆で作られた葛餅のようなお菓子は、私の大好きな夏の和菓子です。家に帰って透明のガラスの和食器にのせて笹の葉をそおっと開けると、キラキラひかる焦げ茶色の固まりが、プルンと光ってまるでジュエリーの原石のようでした。銀のスプーンですくってほおばりました。和菓子は上品にいただくことができるんですよ。この姿を長塚さんにお見せしたかったなって思いながら、真夜中に一気に5個も食べてしまいました。(イラストレーター 平松昭子/SANKEI EXPRESS)