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ウナギ乱獲防止へ 養殖稚魚2割削減 日中台韓 初の合意
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ニホンウナギの稚魚の量が削減されることで中国などと合意された。都内のうなぎ料理店では思い思いの感想を述べながら食事をする人の姿が見られた=2014年17日午後、東京都台東区(大橋純人撮影) ニホンウナギの資源保護策を協議していた日本、中国、台湾、韓国の4カ国・地域は17日、養殖池に入れる稚魚の量(池入れ量)を制限することで合意した。今年11月から1年間の池入れ量を、前年比で2割削減する。シラスウナギと呼ばれる稚魚の乱獲を防ぐのが狙いで、ニホンウナギの資源管理に関する初の国際的な枠組みとなる。
東京都内で16日から開いていた4カ国・地域による国際会合で合意内容を柱とする共同声明をまとめた。議長を務めた農林水産省の宮原正典顧問は会合後の会見で「ウナギの資源保存・管理の第一歩。これを実施しながら改善して(養殖の)生産自体を管理できる仕組みに発展させなければならない」と強調した。
4カ国・地域は来年11月以降の池入れ量については稚魚の捕獲量などを踏まえて決定することでも合意。ニホンウナギ以外のウナギの稚魚も、池入れ量を過去3年間の水準より増やさないようにする。資源管理を効果的に実施するために、国際的な管理組織を設置することでも一致した。
今回の合意内容は「自主的な取り組みの域を出ない」(宮原氏)ことから、法的な拘束力のある枠組みも検討する。
4カ国・地域が今回合意したのは、ニホンウナギの資源量が稚魚の乱獲や河川環境の悪化などで減少しているためだ。ニホンウナギは東アジア地域に分布しており、国際自然保護連合(IUCN)は今年6月、絶滅の恐れがある野生生物を評価したレッドリストで、ニホンウナギを絶滅危惧種に分類した。このリストはワシントン条約で国際取引規制を検討する際の判断材料となる。
取引が制限されれば、養殖業者に打撃を与える恐れがある。それを回避しようと4カ国・地域は資源管理の枠組みを協議していた。
≪老舗料理店「資源保護 意味ある規制」≫
世界で流通する7割を消費するとされる「ウナギ大国」の日本。今後、ウナギの流通量の減少や価格の高騰が懸念される。養殖制限でさらに「高根の花」となるのか。
1893年に創業した東京・浅草橋のうなぎ料理の老舗「千葉屋」では、国産ウナギにこだわり通常50~60匹を焼く。3代目主人の千葉喜八さん(63)は「ウナギは日本の食文化の代表。次の世代へと引き継ぐ必要があり、資源保護という観点では規制を設ける意味がある」と話す。
近年シラスウナギの水揚げ減少が続いた影響で、昨年夏にはうな重を300~500円値上げした。昨年末から今年春先にかけて豊漁に転じたが、千葉さんは「廃業した養殖業者や料理店も多かった」と漏らす。来店した東京都葛飾区の板谷寿賀子さん(67)は「日本人にとってハレの日の食べ物。値段高騰の心配はあるが、特別な日は絶対に食卓に用意したい」と話した。
「養殖池の一部を遊ばせないといけなくなるが、将来稚魚がいなくなり養殖できなくなる危機感の方が強い。削減はやむを得ない」
年間5747トンとウナギ養殖生産量で全国トップの鹿児島県。垂水市の養鰻(ようまん)会社「久保水産」の久保修一社長(42)はこう話す。久保水産では計50面の養殖池を持ち、毎年約200万匹前後のシラスウナギを飼育しているが、養殖制限により、養殖池の一部閉鎖も検討しているという。
ただ、久保社長は「売り上げなどへの影響は限定的」とみる。養殖は約0.2グラムのシラスウナギを6カ月から1年半で200~300グラムに育て、出荷するのが一般的だ。
日本養鰻漁業協同組合連合会(静岡市)の白石嘉男代表理事会長(64)は「業界が生きていくための資源管理。2割削減なら想定の範囲内だが、流通量が減ることは避けられないだろう」と分析している。
消費動向に詳しい三菱UFJリサーチ&コンサルティングの鈴木明彦調査部長は「価格が高騰し、店頭からうなぎが消える小売店も出て来る。将来的にはパック入りのうなぎを買って家で食べる人は随分減るのではないか」と話した。(SANKEI EXPRESS)