ニュースカテゴリ:EX CONTENTS
トレンド
触って、使って 「日本の革ってすごいんだよ」 TIME&EFFORT
更新
明るい雰囲気の「Time&Effort」。えりすぐりの「メイド・イン・ジャパン」の革製品が並ぶ=2014年9月3日、東京都中央区銀座(寺河内美奈撮影)
一般社団法人日本皮革産業連合会(JLIA)が主催する革のショールーム「TIME&EFFORT(タイム・アンド・エフォート)」が東京・銀座にオープンしてから3年目を迎えた。一等地から、「メイド・イン・ジャパン」のすばらしさを発信し続けている。
繊細な蝶のブローチやネックレス。「えっ、これが革なの?」と驚かされる。ブランド「TORQUATA(トルクアータ)」のアイテムだ。「インパクトのあるデザインですが、これを実現するにはとても高い技術が必要。こういった繊細なデザインや技術は日本ならではですね」とストアマネジャーの青木信夫さんは話す。
国内の130ブランド・メーカーを扱い、店頭では70~80ブランド・メーカーを展示する。ショールームとは銘打っているが、見るだけではなく、実際の商品を取り扱っている。「触って、使ってみると、軽さや手ざわりのよさなど、日本ならではの品質の高さを分かっていただけるはず。日本の革ブランドは、技術力はとても高いのに、海外勢に押されてしまって認知度が低い。まずは銀座という日本の一等地で国内のお客さんに手に取ってもらって、『日本の革ってすごいんだ』と知ってもらう。そして、そこから世界へも発信していきたい」
若手の作家やブランドを育てる場としても機能している。知名度の低さゆえ、なかなか百貨店などで個別のスペースを持つことが難しいが、ここでは、常に若手の作家たちに門戸を開放。選考をクリアすればここで展示・販売され、バイヤーたちにアピールすることができる。例えば、ミニマムなデザインが魅力のブランド「THE PITH(ザ・ピス)」は、ここでの展示がきっかけで東京・新宿の伊勢丹メンズ館での取り扱いが決まった。
「TIME&EFFORT」という言葉には、手間ひまかけて丹念に作り上げる、という意味がある。
その名の通り、並べられているアイテムから感じられるのは、高い技術と作業の細やかさだ。
メッシュ素材のバッグを中心に展開している「Mimalux(ミマラックス)」。通常のメッシュはナナメに織られているが、こちらのものは平行。「実は、平行に編み込むのはナナメよりも難しいんです。品質が高いのにヨーロッパのものと比べると手ごろな価格も魅力です」
20、30代の若い職人が主力という「YUHAKU(ユハク)」は、一点一点手染め。フランスの老舗ブランドがリサーチに訪れるほどの高い技術によって表現される深い色合いが評価され、生産が追いつかないほどの人気だという。
日本伝統のモチーフを、現代的な美に昇華させたブランドも目立つ。「Tao baroque(タオ バロック)」は、日本の伝統的な社寺建築などの木造装飾や、絵巻物に登場する「雲」の表現などからインスピレーションを得て、「バロック」としてデザインに取り入れている。
京友禅の技法を取り入れて、立体の模様に仕上げた生地を使ったバッグブランド「decobranche(デコブランシェ)」もユニーク。「西欧と同じことをしていても、かないませんから。いかに染色などで日本ならではのものを差別していくかがキーです。もちろん、そのまま和の要素を取り入れただけでは現代のファッションには合わないけれど、うまく融合させています」
品質、デザイン、価格。どれをとっても胸を張れる「メイド・イン・ジャパン」の革製品。「クールジャパン」の新たな担い手となりうるかもしれない。(文:塩塚夢/撮影:寺河内美奈/SANKEI EXPRESS)
※価格はすべて税別です。