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政治
「倒れたら無駄になる」 体いたわり講演休止 めぐみさん拉致から37年
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北朝鮮に拉致された日本人を救出するための連続集会で挨拶する横田早紀江さん(中央)と、滋さん(左)=2014年11月6日、東京都文京区の文京区民センター(蔵賢斗撮影) 拉致被害者、横田めぐみさん(50)=拉致当時(13)=が1977年、北朝鮮に連れ去られてから15日で37年になる。今夏に始まった拉致被害者らの再調査の報告は今も伝えられず、めぐみさん救出への道筋は見えないままだ。積み重なった疲労のため、父の滋さん(82)と母の早紀江さん(78)は、年内の講演活動を休止することを決めたが、救出への思いは変わらない。体をいたわりながら、再会の日を祈り続けている。
「家族には訴えることしかできないから、できるだけのことはやってきた。本当に長い年月、毎日毎日、私たちがやるべきことをやってきたと思っている」
めぐみさん拉致から37年を前に、早紀江さんはこう語った。めぐみさんが北朝鮮にいるとの情報が明らかになったのは97年。それ以来、滋さんとともに早期救出を求める署名活動や講演に走り回ってきた。
活動を始めたころは世間の関心も低かった。「署名のために机を置こうとしたところ『机なんか置かないでください』と断られたこともあった」と、滋さんは振り返る。
北朝鮮に直接乗り込み、交渉することはできない家族にとって、頼れるのは世論しかない。ひたすら街頭で署名を呼びかけ、講演で家族の思いを訴えてきた。
97年からの17年間で夫妻が行った講演は1400回を超えた。その間に滋さんは2度の入院を経験したが、「今(活動を)やめたら、何も残らず消えてしまう」と現在も講演依頼の大半に応じている。夫妻の元には11月も10件を超える依頼が寄せられていた。
拉致問題解決のめどが立たない中、活動を始めたときには60代だった夫妻も年齢を重ねた。14日で82歳になった滋さんは、足腰の衰えが目立つようになった。バスや電車を乗り継いで、自宅のある川崎市と講演会場を往復するだけでも大きな負担となる。78歳の早紀江さんも加齢で声がかすれ、講演で苦労しているという。
「私たちはめぐみを待ってあげなくてはいけない。自分の体のことも考えないと、倒れてしまったら、これまでの運動が全て無駄になってしまう」。早紀江さんは滋さんを説得。年内の講演活動を休止して、静養することを決めた。
15日に新潟市で開かれる集会には毎年出席していたが、今年は欠席する。田口八重子さん(59)=拉致当時(22)=の兄で家族会代表の飯塚繁雄さん(76)は「静養も大事な活動」と話し、講演などに代理出席して夫妻をサポートする。
しばらく講演を控えるとはいえ、夫妻は無理のない範囲で活動を続けるつもりだ。「人の命を救出するという大事なことに、どうしてこんなに長い時間がかかるのか」と、早紀江さん。ときにそんなジレンマを感じながら、夫妻はめぐみさんとの再会に向けて今後も歩み続ける。(松岡朋枝/SANKEI EXPRESS)
≪啓発ポスターを刷新≫
政府の拉致問題対策本部は14日、拉致被害者の早期救出を呼びかける新しい啓発ポスターを発表した。
横田めぐみさんの写真を使ったポスターなど2種類で計?万枚を作製。全国の公共機関などに掲示する。
めぐみさんのポスターには、母の早紀江さんの直筆で「めぐみ、お母さんがきっと助けてあげる。めぐみがいなくなって長い年月が経(た)ちました。同じように助けを求めている拉致被害者がたくさんいるのです」と記されている。
写真は1977年1月に新潟市の自宅前で父の滋さんが撮影。めぐみさんはこの年の11月に拉致された。
山谷えり子拉致問題担当相は14日の会見で、「早く取り戻さなければならないと思っている。家族が高齢化する中、切迫感を持って解決に取り組む」と語った。(SANKEI EXPRESS)