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【だから人間は滅びない-天童荒太、つなげる現場へ-】(9-5) 一つの働き方として存在
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「NPO埼玉ネット」代表理事の松尾道夫氏=2014年11月4日、埼玉県さいたま市北区(野村成次撮影)
けれど、僕らにとっては、NPOというのは一つの働き方として存在している。アメリカだと、就職したい企業の上位3位がNPOだったりというのが普通。日本もそういう時代にいずれなるでしょう。働き方として精神衛生上も悪くないですし。
NPOと株式会社の違いは何かと聞かれたとき、「資本です」と答えています。株式会社は資本があります。資本家にとって資本を投入することは、配当という不労所得がもらえる。けれど、NPOは、資本をもたない。ただ、ボランティアではない。儲けをだしてもいい。その代わり、再分配はしないよと。発生するのは、その事業に直接関わった労働に対する給与だけです。だから、先ほど僕が働き方の一つだと言ったのは、NPOなら小回りよく、自分たちの思いがいかせるということ。大きな組織になると、食べていくためにしょうがないこともやらざるを得ないこともある。
豊島 元祖社会起業家なのかもしれませんね、松尾さんたちは。余計な利益をとらないで、次のために投資していく。ためるより、どうせなら楽しいことに使おうよ、と。NPOまつりだったり、そういう場所を松尾さんたちが作ってきて、その積み重ねで、今回の訓練でもあれだけのNPOが参加できた。
それにね、震災の時はSOSのファクスが、くるんですよ。今こういう状態でどうしようもないと。切々と書いているのね。物資を一つでもいいから出してくれと。1便でもいいから、出そうと。その辺は行政とNPOの根本的な違い。行政はあまねく公平にが原則ですが、NPOは違う。自分たちで判断すればいい。あるところに特化してもいい。行政だと、「なんだあそこばっかり」と言われる。私たちは、必要だと思うから、やってる。そこがNPOのいいとこですね。
そのよさをいかそうと、情報の取り方にもルールを決めている。NPO同士でメーリングリストを作って、震災のときもその情報を元に支援に動いたのですが、そこにはマスコミに出た情報はあげてはいけないことにしている。マスコミの情報は、みんなが知ってるから、そこにワーッと集中してしまう。そうすると物資も人も余って、結局ムダになる。
「誰々から聞いた」という情報もダメ。噂だから。行くと空振る。平時のいろんなつながりを持っていることが大事。この人が言うなら…と信頼できる。信頼できる人から信頼できる情報がきたら、彼らにとっても信頼できるわれわれが、そこに支援をしていく…というのが効率的。
そういう考え方だから、「なんでやるんですか、赤字なのに」と聞かれれば、信頼関係があるところはやらざるを得ない面がある。知り合いが森林を守る取り組みをしていて、その関係で川内村と付き合いがあったりね。そういうつながりが何らかの効果を発揮したよね、というのを経験として持ってる。(取材・構成:塩塚夢/SANKEI EXPRESS)