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政治
【15年度税制大綱】配偶者控除見直し 具体案は16年度以降
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働く女性を支援する資生堂事業所内の保育所。税制改正大綱では、配偶者控除見直しの具体案が先送りされ、女性の活躍にハードルが残った=2014年12月10日、東京都港区(小林健一撮影) 2015年度の税制改正大綱は、専業主婦やパートの妻がいる世帯の所得税や個人住民税を軽くする「配偶者控除」について、「(配偶者控除を含む)各種控除や税率構造の一体的な見直しを丁寧に検討する」と明記するにとどめ、見直しの具体案は先送りした。少子高齢化が進む中、持続的な経済成長には「女性の活躍」が不可欠だが、制度設計によっては家計の負担増を招くケースもあり、与党内に慎重論も根強い。
大綱では「若い世代が結婚し子供を生み育てやすい環境を整備すること」を政策の重要課題として挙げた。配偶者控除の具体的な見直しは16年度改正以降の議論になる見通しだ。
現行の配偶者控除は、年収103万円以下の妻を持つ世帯に適用される。課税所得の計算前に、夫の年収から38万円を控除する仕組み。妻が専業主婦の世帯などは夫の所得税や住民税が抑えられる。
一方、主婦が控除を受けられる範囲に就労時間を抑えるケースもあり、女性の勤労意欲を削いでいるとの指摘がある。厚生労働省の推計では、少子化で労働力人口は42年までに約300万人減少する見込み。持続的な経済成長を実現するには、これまで働いていなかった女性の社会進出が不可欠だ。このため配偶者控除は、女性の社会進出の阻害要因の一つとしてやり玉に挙げられ、政府税制調査会は11月、5通りの改正案を示していた。
今後の改正案で有力視されるのは、妻の年収を問わずに夫の年収から一定額を差し引く「夫婦控除」だ。フルタイムやパートなど女性の働き方が控除に影響しない仕組みにする発想だ。
しかし、控除の見直しが、女性の社会進出を大きく後押しする効果を生むのかには疑問の声があがる。
夫婦控除を導入した場合、現制度で恩恵を受けている一部のパート主婦世帯では負担増となるなどの課題もある。政府税調の中里実会長(東大教授)は、「拙速に結論を決めない方がいい」と述べ、政府内の社会保障制度や企業の福利厚生の見直し議論と並行して、慎重に議論を進める考えを示した。
政府は15年4月に「子ども・子育て支援新制度」として、待機児童ゼロや保育士の処遇改善などを実施する。また、経済対策でも認可保育所の前倒し着工などの政策を打ち出した。互いの施策がかみ合って、女性の就労環境が改善することが極めて重要だ。(SANKEI EXPRESS)