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【2015年度予算案】子育て世帯恩恵 低所得層には痛手

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【2015年度予算案】子育て世帯恩恵 低所得層には痛手

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2015年度予算案で子育て世帯の支援を手厚くし、女性が働きやすい環境も整備するが、待機児童をなくすまでの道のりはまだ遠い。保育園について情報交換する母親ら=2014年11月19日、東京都杉並区(書類の一部を加工しています)  「50年後に人口1億人維持」との目標を掲げる安倍政権は、2015年度予算案で子育て世帯の支援を手厚くし、女性が働きやすい環境も整備する。一方、所得が少ない世帯は、生活保護などが縮小されて家計が厳しくなりそうだ。

 保育料引き下げ

 子育て関連では、自治体が保育所などをつくる事業を国が支援する。妊娠から育児まで幅広い相談ができる「子育て世代包括支援センター」も各地に設けられる。仕事をしながら子育てするお母さんには朗報だが、待機児童をなくすまでの道のりはまだ遠い。

 年収が270万円未満の世帯では、3~5歳の幼稚園児の年間保育料が大幅に引き下げられることも決まった。ただ、保育園児も含めた幼児教育の無償化は見送られた。14年度に実施された子育て世帯への給付金は継続されるが、金額は1万円から3000円に減る。

 公立小学校の「35人学級」は、教育効果がみられないとして財務省が40人に戻すよう求めたが、これまで通り維持された。無利子の奨学金制度は対象枠が1万9000人拡大した。低所得世帯の子供も大学などに通いやすくなりそうだ。

 柔軟な働き方

 人口が減る中で働き手を確保する狙いもあり、女性や高齢者が働きやすい環境が整備される。勤務地や職務を限定した正社員制度を導入する企業や、65歳を過ぎても働ける企業を国が支援する。

 勤務時間を朝型に変えて長時間労働を減らす取り組みも後押しするほか、パソコンを使った在宅勤務「テレワーク」を拡大するなど、働き方を柔軟にしていく。サラリーマンがこれまでの働き方を見直すきっかけになるかもしれない。

 介護報酬は9年ぶりに引き下げられることになり、介護サービスの利用者負担は軽減されそうだ。治療法が確立していない難病への医療費の助成は大幅に拡充される。環境に優しい車を普及させるため、電気自動車(EV)を買った人には最大85万円の補助金が出る。関心がある人の購入を後押ししそうだ。

 生活保護支給額ダウン

 消費税率が8%に引き上げられた昨年4月以降、2人以上の世帯の消費支出は11月まで8カ月連続で前年同月を下回った。中でも低所得世帯は家計を切り詰めている。

 14年度に実施した低所得世帯に現金を支給する措置は15年度も続け、1回限りで1人6000円を配る。ただ年金受給者らへの5000円の上乗せは廃止される。

 消費税の再増税が延期されたため、年金額が少ない人への月5000円の給付措置は、開始時期が17年4月に延期された。生活保護費では、家賃に相当する「住宅扶助」の支給総額が引き下げられ、冬場の光熱費に充てる「冬季加算」も減額。いずれも低所得世帯には痛手になる。(SANKEI EXPRESS

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