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「JA全中は脇役に」 農協改革へ牽制 安倍首相「このままでは農業衰退」

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「JA全中は脇役に」 農協改革へ牽制 安倍首相「このままでは農業衰退」

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中東地域歴訪のため羽田空港を出発する安倍晋三(しんぞう)首相と昭恵夫人=2015年1月16日午前、東京都大田区(共同)  安倍晋三首相は16日、全国農業協同組合中央会(JA全中)の組織改革について「中央会には脇役に徹していただきたい。そうした趣旨の改革を行っていきたい」と述べ、政権の農政改革方針に対決姿勢を強めるJA全中を強く牽制(けんせい)した。中東歴訪出発前に羽田空港で記者団の質問に答えた。

 農政改革は政権の成長戦略の柱の一つであり、首相は「このままでは大切な農業が衰退していく。農家のために農協の抜本改革を断行する決意だ」と重ねて強調。その上で「地域の農協を主役とし、農業を成長産業に変えるため全力投球する」と述べ、改革への決意を示した。

 菅義偉(すが・よしひで)官房長官も16日の記者会見で「中央会制度は1954年に経営危機に陥った農協組織を再建するために導入された特別な組織だ。しかし状況は大きく変化している」として、改革の必要性を指摘した。

 ≪佐賀知事選敗北で闘志≫

 安倍晋三首相がJA全中を名指しで牽制したのは、先の佐賀県知事選の結果が念頭にある。農政改革をはじめとする岩盤規制の打破はアベノミクス「第3の矢」である成長戦略の要だが、「改革の象徴」として擁立した与党推薦候補は地元農協の政治団体などが推す候補に敗北。改革の骨抜きを図るJA全中側が勢いづく中、首相の闘志にも火が付いたようだ。

 政府はJA全中から地域農協への指導権を取り上げ、地域農協の創意工夫を引き出す改革を目指している。自民党の衆院選公約にも「議論を深め、着実に推進」と記していた。

 衆院選大勝を受け、首相は5日の年頭の記者会見で「あらゆる改革を大きく前進させる1年にする」と強調。26日召集の通常国会を「改革断行国会」と命名した。その柱となる農協法改正案は今国会で提出、成立を目指している。

 一方で、JA全中側は対決姿勢を強める。昨年11月に公表した自己改革案は地域農協への影響力を温存できる内容とした。佐賀県知事選で集票マシンとしての農協の底力を見せつけた万歳章(ばんざい・あきら)会長は「自らの組織改革を自らの手でやり遂げる」と語り、政権の“介入”を公然と拒否している。

 自民党内では「首相は意地になっている。慎重になった方がいい」(幹部)との声もあるが、官邸側は「JA全中に“上納金”を召し上げられている地域の農協は改革に賛成だ」(首相周辺)と強気の姿勢を崩さない。

 ≪地域農協の創意工夫期待≫

 政府・与党が進める農協改革は、農協法に基づいたJA全中が持つ全国の地域農協への一律的な指導や監査の権限を廃し、地域農協の創意工夫を引き出すのが狙いだ。与党の農協改革のプロジェクトチーム(PT)は焦点となっているJA全中の監査権のあり方について、20日から本格的な議論を始める。監査権廃止に向けて詳細を詰め、農協法改正案の骨格を固めたい考えだ。

 政府の農協法改正案の原案では、地域農協への指導権や監査権などJA全中の役割を定めた現行の農協法の規定を削除。その上でJA全中を一般社団・財団法人法に基づく新たな組織とする方針だ。全中の地域農協に対する強制的な監査権限がなくなるため「地域農協の経営の自由度が高まることが期待される」(西川公也(こうや)農林水産相)というのが政府の主張だ。

 政府は現行の監査制度を廃止し、各地域農協には監査法人や公認会計士の監査を義務付ける方向で検討している。20日から始まる与党のPTでは、JAグループの担当者などから地域農協の現状などの説明を聞き、地域農協に対し公認会計士による監査を義務付けられるかどうかについて議論する。PTでの意見を参考に農協法改正案の骨格をまとめ、来月上旬までに農林水産省に提出する予定だ。(SANKEI EXPRESS

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