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【イスラム国殺害脅迫】ヨルダン、「死刑囚釈放の用意」苦渋決断 パイロット解放条件

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【イスラム国殺害脅迫】ヨルダン、「死刑囚釈放の用意」苦渋決断 パイロット解放条件

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イスラム国に拘束されているヨルダン軍パイロット、モアズ・カサスベ中尉の解放を訴える父親(中央)=2015年1月27日、ヨルダン・首都アンマン(ロイター)  イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」に拘束されているフリージャーナリスト、後藤健二さん(47)とみられる男性の新たな音声付き画像が27日深夜にインターネット上で公開され、男性は「私には24時間しか残されていない」と訴え、ヨルダンで収監中のサジダ・リシャウィ死刑囚の早期釈放を求めた。さらにイスラム国が拘束しているヨルダン軍パイロット、モアズ・カサスベ中尉(26)の殺害も予告。ヨルダン国営テレビは28日、メディア担当相がカサスベ中尉が解放されれば、女死刑囚を釈放する用意があると述べたと報じた。2人を救出できるのか。ヨルダン政府は苦渋の決断を迫られた。

 後藤さんと一括探る

 27日に公開された新たな画像では英語の音声で「これが私の最後のメッセージになると言われた」と述べたうえで、「ヨルダン政府にあらゆる政治的圧力をかけるよう日本政府に言ってほしい。私とサジダ(死刑囚)の交換、1対1の交換だ。ヨルダン政府がこれ以上引き延ばせば、パイロットが死に、私も後に続くことになる」と訴えた。

 ヨルダンの首都アンマンの現地対策本部を指揮する中山泰秀外務副大臣は28日午前、後藤さんの安否について「今実際に進んでいる問題なので、お答えは差し控える」とし、「絶対に諦めない」と述べた。

 パイロットのカサスベ中尉は昨年12月下旬、有志国によるシリア北部でのイスラム国空爆作戦中に戦闘機が墜落しイスラム国に拘束された。イスラム国側は女死刑囚との交換を求めていたとされる。ヨルダン政府は、24日に公開された音声付き画像でイスラム国が後藤さんとの交換に要求を変更してきた後は、「中尉と後藤さん」と「女死刑囚」の交換による一括解放を探っていた。

 「国家の息子」

 中尉はイスラム教スンニ派の有力な家系の出身で、叔父は軍の元最高幹部。拘束されてからの1カ月間、その安否は国民的な関心を集めてきた。アブドラ国王は中尉の家族に会い、「生還させるよう全力を尽くす」と約束。25日には地元紙との会見で、中尉を「ヨルダンの息子」と呼び、「救出は国家の最優先課題だ」と表明した。

 1月28日付のヨルダン各紙は、中尉の殺害予告を1面トップなどで大きく報道。各地で解放を求める集会が開かれた。

 新たな画像のメッセージは、死刑囚と後藤さんとの1対1の交換を要求しており、ヨルダンのメディア担当相が提案した中尉との交換にイスラム国が応じるかは不明だ。メディア担当相は後藤さんには言及しなかった。

 ヨルダン国内では、女死刑囚はあくまで中尉との交換に使うべきだとの声が強く、こうした世論に配慮した可能性がある。

 ただ、新たな画像は女死刑囚を釈放しなければ中尉を先に殺害すると警告する一方で、仮に釈放しても、中尉を解放するとは言っていない。画像のメッセージは「ボールは今、ヨルダン側にある」と突き付けた。ヨルダン政府としては、目前に迫った中尉の危機をひとまず回避するには、卑劣なテロリストの要求に従わざるを得ない状況だ。(SANKEI EXPRESS

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