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【USA! USA!】(13)ノースカロライナ州 世界需要見据え空目指すホンダ

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【USA! USA!】(13)ノースカロライナ州 世界需要見据え空目指すホンダ

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試験飛行のため離陸するホンダのビジネスジェット・ホンダジェット=2014年11月25日、米ノースカロライナ州グリーンズボロ市のピードモント・トライアド空港(早坂洋祐撮影)  米ノースカロライナ州グリーンズボロ市のピードモント・トライアド空港で、甲高いエンジン音を響かせながら離着陸を繰り返している小型機があった。ホンダが開発を進める小型ジェット機「ホンダジェット」だ。

 1986年から日本国内で航空機を研究してきたホンダは、2006年に航空産業への参入を発表。空港に隣接する工場で、小型ジェットの開発・生産を開始した。10年には量産型試作機の初飛行に成功し、工場は現在、量産態勢に入っている。

 空港の第2滑走路では、20人ほどが乗れる米政府所有のガルフストリーム機や、50席ほどのユナイテッド・エクスプレス航空のボンバルディアCRJ機も離着陸訓練を行っていた。それらの機体と滑走路や誘導路ですれ違うと、ホンダジェットが群を抜いて小さいことがわかる。7人乗りの機体は、企業のビジネス用途や富裕層の個人利用を想定したものだ。

 エンジンが主翼上部に乗るような独特スタイルは、2012年に米航空宇宙学会の「エアクラフトデザインアワード」を受賞した。その心臓部となるエンジンは、ゼネラル・エレクトリックとの共同開発ながらも、航空機メーカーとしては珍しい自社開発の製品だ。

 ホンダでは米連邦航空局による型式証明が取得でき次第、顧客への機体の引き渡しを始める予定で、3年後には年間80機から100機の生産を見込んでいる。新型ジェットが自由に空を飛びまわる日はもうすぐだ。

 ≪「人類初飛行」の地 航空宇宙産業に転換≫

 キルデビルヒルズは大西洋に面した米ノースカロライナ州の小さな街だ。1903年12月17日、この街の外れにある砂浜で人類初の偉業が達成された。オハイオ州デイトンで自転車店を営んでいたライト兄弟が、動力付きの飛行機で初めて空を飛んだのだ。

 ウィルバーとオービルの兄弟が開発したライトフライヤー号は、全長6.4メートル、全幅12.3メートル。約12馬力のエンジンはチェーンを通じて2つの木製プロペラを回転させる。風速27メートルの強風の中、操縦桿(そうじゅうかん)を握った弟のオービルは約36.5メートル、12秒間の初飛行を成功させた。

 現在のキルデビルヒルズはライト兄弟をたたえる国立記念公園として整備され、機体のレプリカなどを展示する資料館や巨大な記念碑が建つ。

 観光客は離陸地点から着陸点に置かれた飛行距離が刻まれた石の標識まで歩き、彼らの偉業を体感していた。

 ライト兄弟による初飛行から約100年、米国は航空宇宙産業で世界の先頭を走ってきた。初飛行の地を抱えるノースカロライナ州の州政府は1950年代後半、家具、タバコ、織物などの伝統的な産業から、高度技術を中心とした新産業への転換を提案。航空宇宙産業も金融サービスやバイオテクノロジーなどと並ぶ重点分野の一つに指定されている。

 グリーンズボロ市のピードモント・トライアド空港には、独立系航空機整備会社として米最大手で日本航空にも座席を納入するハエコ社が本社を置く。

 滑走路横には巨大なハンガーが並び、その前には整備を待つ大型ジェット機が駐機していた。

 ハエコ社販売担当上席役員のジェフ・ルデックさんは「州や地元自治体による航空宇宙産業の発展の後押しは大きい。用地取得の助成や税の優遇もあり、わが社でも市から土地を格安で借りている。また、州立大学などに航空産業向けの教育プログラムが作られ、優秀な人材も確保しやすい」と、ノースカロライナ州でのビジネス環境の良さを説明する。ピードモント・トライアド空港に進出したホンダも、周辺に関連する部品メーカーの多いことや州の優遇政策なども工場用地選定の決め手の一つにあげている。

 ノースカロライナ州のナンバープレートには「初飛行の地」の文字とともに、ライトフライヤー号のイラストが描かれている。人類初の偉業の地の誇りとともに、航空宇宙産業への期待の大きさを感じた。(写真・文:写真報道局 早坂洋祐/SANKEI EXPRESS

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