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【ラグビー】存続危機越え 釜石シーウェイブス、復興に光に TL昇格懸け14日に入れ替え戦
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三菱重工相模原戦でトライを決める釜石シーウェイブスのヘイデン・ホップグッド。チームは1点差で競り勝ち、2月14日にトップリーグ昇格を懸けて入れ替え戦に出場する=2015年1月25日、福岡県福岡市博多区のレベルファイブスタジアム(共同) 岩手県釜石市に拠点を置くラグビーのクラブチーム「釜石シーウェイブス(SW)」が14日、埼玉県の熊谷ラグビー場で、初のトップリーグ(TL)昇格を懸けた入れ替え戦に臨む。日本選手権7連覇を達成した新日鉄釜石を前身とする地域密着型のチームは、東日本大震災による存続危機を乗り越え、街に新たな光をともすことができるか。地元の期待は高まっている。
釜石にとって、ラグビーは街の一部といっていい存在だ。だからこそ、2000年度を最後に新日鉄釜石という企業チームがなくなった後も、SWという地域密着型クラブとして存続してきた。
東日本大震災では壊滅的な被害を受け、SWは一時活動休止に。須田康夫主将(31)は「ラグビーどころではないと思った」と解散を覚悟したと振り返る。それでもサポーターらから存続を求める声が相次いだ。
「お前たちがやることはラグビーだろう」
ボランティアとして支援物資を運ぶ選手にそんな声がかかることもあったという。03年に発足した国内最高峰リーグ、TLに昇格して釜石を活気づけることこそチームの役割だと関係者は胸に刻んだ。
企業チームと比べれば、練習環境に恵まれているとはいえない。強化費も限られている。それでも今季、TL下部のトップイーストで2位に入り、トップウエスト、トップキュウシュウの下部3リーグの2位3チームで争う「トップチャレンジ2」を制するなどし、入れ替え戦出場を決めた。
「感謝の思いは結果で表すしかない」と鼓舞してきたのは、今季からチームを率いる三浦健博ヘッドコーチ(38)だ。自身も震災で被害を受けた岩手県大槌町出身の指揮官は「結果を出してこそ、被災地でも頑張ればできるということを示せる」と力を込める。
市民の期待も高まっている。釜石市は岩手県とともに2019年のラグビーワールドカップ(W杯)日本大会の開催地に立候補しており、市W杯誘致推進室の菊池拓也室長は「SWの活躍がW杯を盛り上げるうえで弾みになる」と期待を寄せる。
SW釜石応援団の福成和幸団長は「今がチャンス。私たちも夢を抱ける。好成績を残したことでサポーターも集めやすくなっており、TL昇格を果たせばより効果は上がる」と語る。
入れ替え戦の相手はTL13位のクボタ。須田主将は「ラグビー人生で一番のビッグゲーム」と闘志を燃やしている。(奥山次郎/SANKEI EXPRESS)