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空腹感 上手に楽しんで 大和田潔

 季節は啓蟄(けいちつ)。冬眠した動物たちが目を覚ましたり、植物が芽をふいたりする季節となりました。だんだん暖かくなってきて、外に出るのも楽しい季節です。東京マラソンもたくさんの方が参加され、盛況に終わりました。

 ウオーキングやジョギング、ランニングを趣味にされている方も多いでしょう。有酸素運動を行う目的はいろいろあります。ほとんどプロのようなランナーの人もいれば、ゆっくり気分転換を兼ねてウオーキングする人もいるでしょう。体重を減らすために有酸素運動を行うこともあるでしょう。

 運動したあとの一杯の温かいご飯は、どんなものよりもごちそうに感じます。運動をするとおなかが減って、食欲に任せて食べ過ぎてしまうと、かえって太ってしまいます。人間は餓死しないような強固なシステムを備えています。もし簡単に食欲をコントロールできてしまったら、私たちはすぐに餓死してしまうでしょう。飢えは命を脅かしますが、肥満はすぐには命を脅かすことはありません。

 人間の脳は、命を脅かす飢えに対して強いブレーキをかけます。「食欲に負ける」というのは、生命活動を続けていくために当然のことです。

 食欲と戦っても勝ち目はないですし、大きな疲労を伴います。私は「上手に空腹感を楽しんで」食欲を制御することが重要だと思っています。子供の頃は、おなかが減った分だけ食事をして体を大きくすることが必要です。大人の私たちは、空腹をまぎらわすために食べるということを止めてみましょう。

 加齢に従い、基礎代謝も落ちますし、若年の頃よりもずっと運動量が減っていきます。クリニックにいらっしゃる立派な体格の方は、若い頃ボート部、ラグビー部、野球部といった方が多いです。たくさんの運動量を支える食欲のまま、壮年期に突入すると肥満一直線。

 私たちは、少し空腹な方が目がさえることもよく経験します。野生の動物たちは空腹を抱えて、頭を使ってエサを探し続けています。私たちも、さえた頭脳を維持するために少し見習うことにしましょう。足りないことの無限性を楽しむ。空腹をむなしく感じずに、楽しむことも良いものです。(秋葉原駅クリニック院長 大和田潔/SANKEI EXPRESS

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