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和食の文化に息づく日本の力 大和田潔
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秋葉原駅クリニック院長、大和田潔さん。診療と執筆で多忙な毎日だが、ランニングと水泳を欠かさない。「体が軽くなれば動くのが楽しくなる。運動をすれば気持ちも前向きになる」=2014年9月2日(塩塚夢撮影)
お正月になると、テレビでは特別番組のプログラムになります。おせち料理だけではなく各地のおいしい料理が紹介され、キャスターの方がおいしくいただく光景が映し出されます。港の近くの料理屋さんや寿司屋さんもよく登場します。
先日、陸揚げされたばかりの桜色のタイが3枚におろされるテレビ番組を拝見しました。湯引きした後、良く切れる薄刃の包丁で手早く角の立つ刺し身にされていきました。九谷(くたに)焼のような鮮やかな器(うつわ)に、湯がかれて鮮やかな緑やだいだい色になった野菜やアースブラウン色のキノコとともに飾り付けられました。何ともいえない美しさをたたえる一品です。
金で縁取られた朱や黒の漆のお重に美しく詰められたおせち料理は、大変な手間と技術の結晶です。色合いも味も完璧です。長い時間をかけて、それぞれの食材をどのように調理したらおいしくいただけるのか、美しく盛りつけられるのか先人たちが苦労したに違いありません。
2013年年末にNHK番組の歴史秘話ヒストリアで「和食はどうしておいしくなった!?~時代の主役たちが育んだ食の遺産~」という番組が放映されました。断片的に勉強していた和食の文化を通観することができました。
番組の中で、和食に3段階の発展があったことが示されていました。1つ目は、中国で精進料理を学んだ禅僧の道元が食の重要性を広めて日本にはなかった料理方法を知らせたことでした。禅は、日々の生活を大切にすること自体が修行であると教えています。
時代が下り、流通が発達してコンブやカツオを使っただしが使われるようになりました。その上で武士が料理を競うようになり、本膳料理として開花しました。最後に千利休が、華美を戒め、質素ながらも主が客を心をこめてもてなす料理道を芸術の域に昇華させました。
このような歴史を経て和食は、世界でも稀(まれ)に見るだしのうま味を生かしたおいしさと美を兼ね備えたものになりました。なにごとにも道を究める日本人の力が、おせち料理にも何気なく目にするお総菜屋さんの食材にも普遍的に生き続けていることに思いをはせると幸せな気持ちになります。(秋葉原駅クリニック院長 大和田潔/SANKEI EXPRESS)