SankeiBiz for mobile

食物への異物混入 分類して考える 大和田潔

 食物への異物混入が繰り返し報道されています。私は、少し整理して考える必要があると思っています。

 最近では「岡山のマクドナルドでも異物混入、ナゲットにゴム手袋片」(1月10日 産経WEST)と報道されました。工場でのプラスチックグローブの破片が混入していたようです。昨年7月には、変色して傷んだ鶏肉でナゲットを作っていたことが発覚し大きな話題となりました。「期限切れ鶏肉 マクドナルド1日当たり2割減収」(2014年7月30日付 SANKEI EXPRESS)と大企業の業績へ影響を与えるほどインパクトがあるものでした。

 「虫混入の『ペヤング』やきそば、製造元が自主回収決める」(14年12月4日 産経ニュース)と、カップ麺にゴキブリが混入して一緒に加工されていました。個人が画像をウエブで発信できるため真偽が確認しきれないこともありますが、その後も食物への異物混入の報道や衝撃的な映像が流布されています。

 けれども、「和光堂が自主回収決める コオロギ混入の離乳食」(1月8日 産経ニュース)は、分けて考えるべきだと思いました。異物混入にはいくつかの「場合分け」が必要です。一つ目は、個人や企業が意図的、非意図的に毒物を混入した場合(パターン1)。次は、原材料や加工過程が不適切、不潔な場合(パターン2)。最後は自然素材のためにやむを得ない場合です(パターン3)。これらをきちんと分けて考えないと、かえって私たち消費者が被害を大きくしてしまうかもしれません。

 殺虫剤入り餃子などの犯罪行為や粉ミルクへの砒素(ひそ)混入などがパターン1、傷んだ鶏肉や古い肉を血液で修飾したひき肉、カップ麺のゴキブリなどがパターン2。野菜や米、果実などへの昆虫の混入がパターン3といえます。

 パターン1、2のように犯罪行為や利益のために食品の安全性を軽視する姿勢、不潔な食品加工は強く非難されるべきでしょう。けれども、パターン3は異なります。「野菜が大好きだったかわいそうなコオロギさんも一緒に煮られてしまったのね」と話すぐらいが良いと思っています。自然界のものをいただいて自分の命をつないでいるという子供たちへの勉強にもなります。次回に続きます。(秋葉原駅クリニック院長 大和田潔/SANKEI EXPRESS

ランキング