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医学界に与えた影響、非常に大きい 医師たちのブラック・ジャック展

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医学界に与えた影響、非常に大きい 医師たちのブラック・ジャック展

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医療メーカーの協力で再現された本格的な記念撮影手術室=2015年2月27日、京都市中京区(提供写真)  【アートクルーズ】

 手塚治虫(1928~89年)の代表作の一つでもある医学の世界を描いたマンガ「ブラック・ジャック」(1973年から連載)。誰もが知っているこの作品の展覧会は、さまざまな形で過去にも何度か開催された。その多くはマンガ原稿(原画)の展示を中心としたものである。

 今回、京都国際マンガミュージアムで開催されている「医師たちのブラック・ジャック展」が過去の展覧会と大きく違うのは、現役の医師たちに「ブラック・ジャック」の名場面を選んでもらい、その思いをパネル展示にしている点ではないだろうか。

 そのことは、今回の展覧会が京都国際マンガミュージアムと「第29回日本医学会総会2015 関西」との共同企画展であるということもあり、現役の医師からもさまざまな意見が寄せられ、展覧会の企画に反映されたことが大きく影響している。

 手術シーン再現

 そもそも「『ブラック・ジャック』の展覧会を京都国際マンガミュージアムで開催できないだろうか?」という企画は、医師たちからの提案だった。そういった意味でも、医学界とマンガミュージアムの接点が「ブラック・ジャック」だったのである。

 ブラック・ジャック自体は高額な報酬を要求する、無免許の医師である。そんなキャラクターを、医師たちはどう受け止めているのだろうか? 今回パネル製作に文章をよせた医師たちは、“外科医のオールスター”といってもよい存在ばかりである。

 その一人である京都大学大学院研究科の高折恭一医師によれば、「ブラック・ジャックは無免許で、ストーリーも独特ですが…」と前置きした上で、「現在の医学界に与えた影響は、非常に大きなものがあります」という。

 高折医師自身も、数時間におよぶ困難な手術を幾度も経験しているからだろう。シーンパネルには、ブラック・ジャックが「手術が失敗したら、命をとられても文句はいわないよ」と、手術に臨んで決意を話すシーンを選んだ。

 高折医師は、展覧会場に設けられた記念撮影コーナーの監修もつとめた。医療メーカー各社の協力により、本格的な手術室が再現され、ブラック・ジャック、ピノコと実際の手術着を着用して、記念撮影ができる本格的なものである。連日、外国人を含む多くの来館者が手術室での記念撮影を体験している。

 治と治虫

 その他にも、ブラック・ジャックの発表40周年を記念して実施された読者が選ぶ「ブラック・ジャックのベストストーリー40」や、手塚治虫以外の作家が描いた「ブラック・ジャックREAL~感動の医療体験談~」の中から、手塚のアシスタントを務めていた三浦みつるによる「第5話まもりたいもの」の原稿(複製)も展示されている。

 展示物の中ではとくに、「手塚治」(本名)が書いた学位論文とその中に書かれた模式図も見逃せない。顕微鏡写真を立体的に模式図に描き起こしているスケッチは、まさに“手塚マンガ”そのものといっていいのではないだろうか?

 養老館長「理想像だ」

 今回、展覧会を構築するにあたって、当館館長である解剖学者の養老孟司に「ブラック・ジャック」について聴くことができた。最後に紹介する。

 「手塚さんはストーリーテラーとして一流の作家だと思います。イメージの喚起力が強く、描く作品のジャンルも幅広く、“手塚マンガ”を面白く読めるようになったら“マンガ読み”としては一人前だと思います。

 『ブラック・ジャック』は、手塚さんが医師免許をもっていることもあって、医学の世界を知っている人が描いているという印象が強かった作品です。でも、そこは“マンガ”の世界ですので、全てがリアルであったわけではなく、この作品が描かれた当時(1970年代)は“科学が夢を見ていた時代”で、そんな時代背景の中、手塚さんの考えた理想の医師像が『ブラック・ジャック』だったのではないでしょうか」(京都国際マンガミュージアム 運営統括室長・本展覧会プロデューサー 安部一郎/SANKEI EXPRESS

 【ガイド】

 ■「医師たちのブラック・ジャック展」 5月10日まで、京都国際マンガミュージアム(京都市中京区烏丸通御池上ル)。展覧会は入場無料だが、ミュージアムの入場料(大人800円)が必要。水曜休館(ただし4月1、29日、5月6日は開館)、4月30日、5月7日は休館。(電)075・254・7414。

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