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科学
運動で「グレリン」減らす工夫を 大和田潔
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秋葉原駅クリニック院長、大和田潔さん。診療と執筆で多忙な毎日だが、ランニングと水泳を欠かさない。「体が軽くなれば動くのが楽しくなる。運動をすれば気持ちも前向きになる」=2014年9月2日(塩塚夢撮影)
運動した後のご飯はとてもおいしく感じます。週末にテニスをしている患者さんが、「テニス後の一杯のビールと仲間と食べる食事は最高です!」とおっしゃっていました。朝少し泳いだ後の昼ごはんがおいしく感じられる週末のことを、私は思い出していました。一方で激しい運動が、食欲をかえって抑制することが知られています。
ランニングには幾つかのトレーニング方法があります。一定の速度で走り続けるペース走、徐々にスピードを上げるビルドアップ走の他に、インターバルトレーニングというものを行うことがあります。インターバルトレーニングは、限界ギリギリの速度で一定時間運動し、その後ゆっくり運動しながら一定時間呼吸と脈を整えるということを繰り返し行う方法です。
これ以上運動できないという限界時の脈拍数を最大心拍数と呼びます。だいたい220-(マイナス)年齢といわれていて、50歳の人で170回/分ぐらいになります。インターバルトレーニングは、最大心拍数の80%ぐらいの運動を1分ぐらい行い、数分軽い運動をするということを繰り返します。かなりハードなトレーニングで、運動に慣れた人が行うものです。
このインターバルトレーニングのような強い運動刺激が食欲を落とすことは、経験上知られていました。「食欲を抑制させる運動様式の探索」(早稲田大学スポーツ科学学術院)という論文は、興味深いものです。縄跳びのような強い運動を行うと、食欲増加作用を持つグレリンが減って食欲が減退することが明らかになりました。
インターバルトレーニングは、運動に慣れた人が行うものです。運動を習慣化していない人は、おなかが減ってきたらおやつを食べるのではなく、素早い足踏みを1、2分行い、少し休んでまた足踏みをするということを数回繰り返してみましょう。ちょっときつい速度で早歩きして、またゆっくり歩くというウオーキングでも良いかもしれません。
暖かくなってきました。運動でグレリンを減らして、食欲をコントロールしてみましょう。(秋葉原駅クリニック院長 大和田潔/SANKEI EXPRESS)