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両陛下 10年来の宿願、パラオご訪問 「苦難の道をしのびたい」

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両陛下 10年来の宿願、パラオご訪問 「苦難の道をしのびたい」

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パラオ国際空港に到着し、地元の子どもたちの歓迎を受けられる天皇、皇后両陛下=2015年4月8日午後、パラオ共和国・バベルダオブ島アイライ州(代表撮影)  天皇、皇后両陛下は8日、戦後70年の節目に戦没者を慰霊するため、羽田発の民間チャーター機でパラオ共和国に入られた。海外での「慰霊の旅」は2005年6月の米自治領サイパン島以来10年ぶり2度目。パラオご訪問は、天皇陛下が強く望みながら一度断念しており、10年来の宿願をかなえられた。

 両陛下は8日夕(日本時間8日夕)、パラオ本島のパラオ国際空港にご到着。空港内でレメンゲサウ大統領夫妻と会見された。宮内庁によると、大統領は国を挙げた歓迎の意を示したのち、戦没者遺骨の収集を「加速させたい」と明言。約200カ所とされる戦後埋められた日本軍の洞窟や壕を「順次開けていきたい」と語った。天皇陛下は「遺族の方が大変感謝されると思います」と述べられた。

 パラオには日系人も多く、沿道には地元住民が多数並んで両国国旗を振って歓迎した。

 コロール島での歓迎行事にはアイランドフォーマルと呼ばれる南国の礼装に合わせ、陛下は長袖シャツにスラックス、皇后さまはチュニックなどのクールビズでご臨席。パラオ側に招待された隣国のミクロネシア連邦のモリ大統領、マーシャル諸島共和国のロヤック大統領とも懇談された。

 両陛下は、夜にはパラオ政府主催の晩餐(ばんさん)会にもご出席。天皇陛下はご答辞の中で、「私どもは先の戦争で亡くなったすべての人々を追悼し、その遺族の歩んできた苦難の道をしのびたいと思います」と述べられた。

 9日は日本軍約1万人、米軍約1700人が犠牲になったペリリュー島にヘリコプターでご移動。日本政府が建立した「西太平洋戦没者の碑」と近くにある米軍の慰霊碑に供花するなどし、帰国の途に就かれる。(パラオ共和国コロール島 伊藤真呂武/SAN KEI EXPRESS

 ≪晩餐会での陛下のご答辞全文≫

 天皇陛下は、パラオ共和国主催の晩餐会で答辞を述べられた。

 戦後70年に当たる本年、皇后と共に、パラオ共和国を訪問できましたことは、誠に感慨深く、ここにレメンゲサウ大統領閣下のこの度の御招待に対し、深く感謝の意を表します。今夕は、私どものために晩餐会を催してくださり、大統領閣下から丁重な歓迎の言葉を頂き、ありがとうございました。また、この訪問に合わせ、モリ・ミクロネシア連邦大統領御夫妻、ロヤック・マーシャル諸島共和国大統領御夫妻がここパラオ国を御訪問になり、今日、明日と続き、私どもと行動を共にしてくださることも誠にうれしく、心より感謝いたします。

 なお、この度の訪問を前にして、ミクロネシア連邦を襲った台風の被害を耳にいたしました。ここに犠牲になられた方々を悼み、御遺族へのお悔やみをお伝えするとともに、被害を受けた大勢の方々に心よりお見舞い申し上げます。地域の復興の一日も早いことを念願しております。

 ミクロネシア地域は第一次世界大戦後、国際連盟の下で、日本の委任統治領になりました。パラオには、南洋庁が設置され、多くの日本人が移住してきました。移住した日本人はパラオの人々と交流を深め、協力して地域の発展に力を尽くしたと聞いております。クニオ・ナカムラ元大統領始め、今日貴国で活躍しておられる方々に日本語の名を持つ方が多いことも、長く深い交流の歴史を思い起こさせるものであり、私どもに親しみを感じさせます。

 しかしながら、先の戦争においては、貴国を含むこの地域において日米の熾烈(しれつ)な戦闘が行われ、多くの人命が失われました。日本軍は貴国民に、安全な場所への疎開を勧める等、貴国民の安全に配慮したと言われておりますが、空襲や食糧難、疫病による犠牲者が生じたのは痛ましいことでした。ここパラオの地において、私どもは先の戦争で亡くなったすべての人々を追悼し、その遺族の歩んできた苦難の道をしのびたいと思います。

 また、私どもは、この機会に、この地域の人々が、厳しい戦禍を体験したにもかかわらず、戦後に慰霊碑や墓地の管理、清掃、遺骨の収集などに尽力されたことに対して心から謝意を表します。

 ミクロネシア3国と日本との外交関係が樹立されてから20年以上がたちました。今日、日本とこの地域との間では漁業や観光の分野を中心として関係が深まってきていることは誠に喜ばしいことです。今後それぞれの国との間で一層交流が盛んになることを願ってやみません。

 ここに杯を挙げて、パラオ共和国大統領閣下、令夫人、ミクロネシア連邦大統領閣下、令夫人、及び、マーシャル諸島共和国大統領閣下、令夫人の御健勝とそれぞれの国の国民の幸せを祈ります。(SAN KEI EXPRESS

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