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【まぜこぜエクスプレス】Vol.50 多様な人が自然につながった日 Warm Blue Day 2015
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「原宿・表参道・青山を青く染める!」を合言葉に5カ所で開催された「Warm_Blue_Day_2015」の多彩なイベント=2015年4月2日、東京都内(越智貴雄さん撮影、提供写真) 4月2日、国連が定めた世界自閉症啓発デーのこの日。Get in touchは、東急プラザ 表参道原宿のエントランスと6階のおもはらの森、BA-TSUアートギャラリー、伊藤忠青山アートスクエア、東京タワーの5カ所同時進行で「Warm Blue Day 2015」のイベントを開催した。「原宿・表参道・青山を青く染める!」を合言葉に、街には思い思いのブルーを身に着けた、多様な人々が集まった。
ネット配信の手話バラエティー番組「GO!GO!しゅわーるど」からはボランティアとして10人が参加。手のひらに「タッチしませんか」の文字を書き、道行く人とコミュニケーションをとった。視覚障がい者でブラインドサッカー日本代表の加藤健人さんとコンビを組んで行動したろう者のモンキー高野さんは、「つながれてうれしかった。耳が聞こえなくても関係ない」。
HIV/AIDSの予防啓発をしているNPO法人「akta」の佐久間久弘さんもスタッフとして参加。新宿2丁目のゲイコミニティーの中からコンドームやセクシュアルヘルスの情報を街に届けるDELIVERY BOYSの活動を通じてWarm Blue Day 2015への参加を呼びかけた。「さまざまな人たちが集まり、でっかい真っ青な花火を打ち上げるワクワク感があった」と話す。「当日は障がいや生きづらさを抱えた人たち、そしてその家族や友人、国籍やセクシュアリティーも超えて本当にMAZEKOZEですてきな1日だった」
Warm Blue Day 2015は、青いアイテムを身に着けるだけで誰でも参加できる。身に着けていなくても、青い缶バッジやリボンなどをプレゼントしてもらい、移動する人が一緒に街をブルーに染めていく。そして、ブルーや4月2日の意味を自然に考える。今日はいろんな人が歩いている。普段会わない人たち。自閉症の人はもちろん、白杖を持った人、手話で話す人、義足の人、車いすの人、知的ハンディキャップのある人、ダウン症の人、LGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー)などセクシュアルマイノリティーの人、ドラァグクイーン、立派なヒゲをはやしミニスカートをはいたセクシュアルがわからない人、肌の色が黒い人、コスプレの人、ゴスロリファッションの人…。私たちはすでに多様な人たちと一緒に暮らしている。でも、なぜ、普段はそうじゃないんだろう?
自閉症当事者の山本純一郎さんと坂本恵美さんは、ブルーアイテムの配布スタッフを務めた。「無関心だった人が、考えるキッカケになったらうれしい。理解し合うって人と人が笑いあえてニコニコしていられるような、そんな感じかな」と、まぜこぜ社会を実感できたと話す。親戚が自閉症でイベントに参加したという70代の男性も、「原宿は敷居が高かったけど、いろんなファッションの人がいて、手話を使っている人もたくさんいて、みながとても楽しそうなので、今まで自分は狭い価値観の中で生きてきたんだなと感じて新鮮です」と感激した様子で語ってくれた。
一方、おもはらの森でのライブに出演した、自閉症とともに生きるラッパーのGOMESS君は、「まぜこぜで幸せになる人もいるかもしれないけど、なれない人もいる。まぜこぜになることで今まで平穏に暮らしていた人が巻き込まれることもあるし、余計なお世話というのも感じる」と疑問を投げかける。「でも、Get in touchはそんなこともわかっていて、その溝を埋めるために闘っている団体なんだと思う。だから興味がある」
確かに、まぜこぜに集うと煩わしいことも、想定外なことも起こる。けれども一方で気づくこともたくさんある。自分や他者のできることできないことを知り、足りないところを自然に補い合うようになる。理解や知識はなくても、まずは一緒にいるだけでいいのだ。もちろん、まぜこぜは強制するものではないし、まぜこぜが苦手な人も排除しない。誰もが自然につながるチカラを持っているんだなと、今回のイベントで実感した。
たくさんのパワーをもらい消費したイベントだったが、実はまだまだ続いている。伊藤忠青山アートスクエアでは4月24日まで『“Warm Blue”MAZEKOZE Art』展を開催中だ。自閉症、知的障がい、精神障がい、身体障がい、なにも障がいのない人。あらゆる特性のあるプロのアーティストに、思い思いのブルーを描いてもらった。ここでもきっと、まぜこぜのパワーを感じてもらえるはず。気軽に足を運んでほしい。(一般社団法人「Get in touch」代表 東ちづる/SANKEI EXPRESS)
■Get in touch “Warm Blue” MAZEKOZE Art 4月24日まで。伊藤忠青山アートスクエア(東京都港区北青山2の3の1 シーアイプラザB1F)。午前11時~午後7時、入場無料。