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俳優さんに助けてもらいながら一緒に作る 舞台「夜想曲集」演出 小川絵梨子さんに聞く

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俳優さんに助けてもらいながら一緒に作る 舞台「夜想曲集」演出 小川絵梨子さんに聞く

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演出家、小川絵梨子さん=2012年11月9日、東京都内(矢島康弘撮影)  「夜想曲集」で演出を務める小川絵梨子(36)は、米国で演劇を学んだ新進気鋭の演出家。海外戯曲の翻訳と演出の力に定評があり、数々の賞を受賞している若手実力派だ。「戯曲の世界に入り込み、俳優さんに助けてもらいながら一緒に舞台を作っています」。その姿勢は多くの俳優たちに慕われている。

 昨年12月に東京で上演された英国の翻訳劇「星の数ホド」は、2人の男女の間に起きたかもしれない事象を、わずかの時間差で順番に紹介していく新しい形の戯曲で、主演の浦井健治(33)、鈴木杏(28)ら2人はかなり戸惑った。小川は「2人の間で起きる現象をちゃんと作ろう」と演出。小川の基本的な手法で、「夜想曲集」でも踏襲されている。

 小学校から聖心女子学院に学び、中学・高校で演劇部へ。最初は女優を志したが、次第に演出の仕事に憧れる。大学では心理学を学んだが、演劇への夢を断ちがたく米国へ留学。日本人では初めてアクターズスタジオの大学院に進む。

 修了後は米国と日本を行き来して演出の仕事を手がけていた。2010年の「今は亡きヘンリー・モス」の翻訳と演出が高く評価され、13年には「OPUS/作品」の演出で千田是也賞を受賞、日本での仕事の幅を広げている。

 得意とする翻訳劇は「ネーティブの人が、ネーティブの本を読んだときと同じ距離感を再現したい」。ジャンポール・サルトルやサミュエル・ベケットなど取り組みたい戯曲は多いが、オリジナルを書くことには興味がない。「本に助けてもらって、言いたいことや感じたいことを一緒にやらせてもらっている」と今後も自然体を貫く。(文:藤沢志穂子/撮影:矢島康弘/SANKEI EXPRESS

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