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5月の台風 実は接近しやすく…大雨に注意

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5月の台風 実は接近しやすく…大雨に注意

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台風6号の移動経路と今後の予想進路=2015年5月11日18時現在  強い台風6号は11日、フィリピンの北の海上を東寄りに進んだ。12日夜には温帯低気圧へ変わる見込みだが、接近する沖縄・奄美では11日夜から大雨や暴風となる恐れがあるとして、気象庁が警戒を呼び掛けた。

 台風6号は今後、速度を上げながら日本の南海上を移動。日本海にある別の低気圧にも暖かい空気が流れ込むため、12日は東日本から西日本でも太平洋側を中心に大気が非常に不安定となり、大雨の可能性がある。

 気象庁によると、台風の勢力は海面水温と関係しており、日本周辺はまだ温度が低いため勢力が衰える。このため、台風6号は12日の夕方から夜にかけて温帯低気圧に変わる見込みだが、関東沖に進む13日には南からの暖かい空気と北西からの冷たい風がぶつかり、再び勢力を強める可能性がある。

 台風6号は11日午後6時現在、西表島の南南西約280キロを時速約20キロで北北東へ進んだ。中心気圧955ヘクトパスカル、中心付近の最大風速40メートル、最大瞬間風速55メートル。中心から半径80キロ以内が風速25メ-トル以上の暴風域、半径190キロ以内が風速15メートル以上の強風域。

 台風6号が気象庁の予想通りの動きをとった場合、5月としては2011年以来4年ぶり、気象庁が統計を開始した1951年以降では8回目となる本州や九州、四国への接近となる。通常、台風の発生が多くなるのは7月以降だが、今年は平年の3倍近い7個の台風が発生。気象庁によると、5月に発生した台風は日本列島に接近するケースが多いという。

 高気圧の間を通り

 台風6号は、日本列島の南東の太平洋高気圧と、中国大陸の高気圧との間を縫うように日本列島に向かっている。

 5月は今回のような気圧配置になりやすいといい、2011年の台風1号と2号も同様のルートを通って日本列島に接近した。気象庁天気相談所の松本積(つもる)所長は「5月の台風は日本列島に接近しやすい傾向にある。実際に接近することが少ないのは、5月に発生する台風が少ないためだ」と説明する。

 ところが、今年はすでに太平洋上で台風7号が発生するなど、5月までの平年の台風発生数(2.4個)の3倍近いペースで推移している。

 松本所長は「フィリピンの東の海で海面水温が平年より1度前後高いため、台風が発生しやすくなっている。たくさん発生しているうちの一つが、今回日本列島に向かってきたのではないか」とみる。

 年間発生数増加も

 一方、「太平洋高気圧は通常、夏にかけて日本の南から徐々に北上してくるが、現時点ですでに6月ごろの位置まで北に張り出している」と指摘するのは、気象情報会社「ウェザーマップ」(東京都港区)の気象予報士、片山由紀子さん。「平年なら台風はもっと南を通るが、今年は高気圧が北にあるため日本列島まで達したのでは」と分析する。

 片山さんは「5月の時点で台風が多く発生する年は、一年を通しても数が増える傾向があるので注意が必要だ」と呼び掛けている。(SANKEI EXPRESS

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