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【ソーシャル・イノベーションの現場から】子供の「異才」伸ばせ 学習機会を提供発掘プロジェクト 2期生募集

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【ソーシャル・イノベーションの現場から】子供の「異才」伸ばせ 学習機会を提供発掘プロジェクト 2期生募集

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大阪市北区のグランフロント大阪にあるコングレコンベンションセンターで開かれた「異才発掘プロジェクト(ROCKET)」の説明会=2015年5月9日(日本財団提供)  「一つの分野に関心が高く調べることに貪欲」「興味ある物事に集中し続ける」。その半面、「落ち着きがない」「空気が読めない」「協調性がない」。周りに、こうした子供はいないだろうか?

 ゴールデンウイーク明けの週末の9日、大阪市北区の「グランフロント大阪」にあるコングレコンベンションセンターに小中学生の親子計120人が集まった。普段はビジネスパーソンが集まることが多い会場で開催されたのは「異才発掘プロジェクト(ROCKET)」の説明会。日本財団と東京大学先端科学技術研究センターが協力し、突出した能力は持ちながら、不登校傾向で学習の機会を失っている小中学生に、継続的な学習の機会を提供しようという取り組みである。

 社会が生み出す不登校

 昨年の1期生15人の中には、完全不登校の子供以外にも、登校はしているが、授業内容に物足りなさを感じたり、集団行動ができなかったりといった子供もいた。

 ディレクターの東京大学先端科学技術研究センターの中邑賢龍教授は、応募者を通して、子供の不登校には、5つの傾向があると分析している。

 (1)早期教育・学校批判など親の価値観が生み出す不登校(2)子供にだけ努力を強いる親が生み出す無気力と不登校(3)子供のユニークさが原因のいじめが生み出す不登校(4)「読み書き困難」など子供の持つ認知的困難を受け入れない社会が生み出す不登校(5)子供の突き抜けた能力を扱えない学校が生み出す不登校・仮面不登校-だ。個々の傾向に合わせ、社会全体で対応していく必要があると、中邑教授は指摘する。

 ロケットプロジェクトの説明会は全国8カ所で行われ、いずれの会場でも、育て方、教え方、日常生活に関する質問があった。

 これに対し中邑教授は、「あまり先回りして、『ここ行こう』『あれやろう』と言うのは注意が必要。行き過ぎると依存に代わり、子供の自立を損なう。親が子供を受け入れていることがポイント」と話した。

 プロジェクトの進め方に関しても「最終的には本人が決めるので、それを尊重してください。私たちも干渉しない。本人に任せる。本人が決めないと努力しない」と語り、子供の自立を促す考えを示した。

 また、昨年の応募者の3分の1の子供が字を書くことが困難だったことを紹介する一方で、ユニークな子供の認知の特徴について説明。「空間の把握は得意だけど、文字を見ても頭に入らない」「プレゼンテーションは大得意だけど作文は苦手」「思考に手書きのスピードが追い付かない」といった事例を挙げ、このような子供への解決策として、テクノロジーによる代替と合理的配慮の提供を挙げ、来年の国の政策で環境が改善される可能性を参加者に伝えた。

 「応援する気持ち大切に」

 現在の日本は協調性のある人たちの活躍で成長してきた時代を経て、「プラトー(一時的な停滞状態)」にあり、この状態をどうやって突き抜けていくかが社会的課題といわれている。「場の空気を読むだけでは、何一つ変化は起きない。異を唱える、空気を読まない人が活躍することで、イノベーションが起きる」と、中邑教授は指摘する。

 ロケットプロジェクトは「個人を異才にするのではなく、異才になる可能性のある子供をつぶさない取り組み」という。1人が突き抜けていても、それを生かす人がいなければ何も変わらずイノベーションも起きない。ユニークさを理解した支援者が必要であることを踏まえ、中邑教授は「皆さんが理屈でなく子供を応援したいという気持ちを、ロケットプロジェクトでも大切にしたい」と話した。

 「本人に参加意思がある」「今の教育に困りを感じている」「ひとつの事柄に対し強い興味・関心があり、そのことを追求するために日々何らかの活動をしている」。異才発掘プロジェクトでは、そんな子供たちを対象に6月15~30日に参加者を募集。選抜を経て、約10人が秋から2期生としてスタートする。(日本財団 ソーシャルイノベーション本部 高島友和/SANKEI EXPRESS

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