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【Q&A】「新国立」見直し 工費増大 完成ずれ込み決断
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スタジアム本体の解体作業が完了した国立競技場=2015年5月12日、東京都新宿区(共同通信社ヘリから撮影) 2020年東京五輪・パラリンピックのメーンスタジアムとなる約8万人収容の新国立競技場(東京都新宿区)の建設計画が見直されることになりました。フィールド部分を覆う開閉式屋根の設置を大会後に先延ばしするほか、フィールドに向けてせり出す約1万5000席の可動席を取りやめ、仮設で対応することを検討しています。
Q なぜ見直すの
A 事業主体の日本スポーツ振興センター(JSC)が詳細な設計を進める中で、予定の19年3月までに工事を完了できず、新競技場を主会場とする同じ年の9月開幕のラグビーのワールドカップ(W杯)に支障が出る可能性があることが分かりました。昨年5月の時点で1692億円と見込んだ総工費も建築資材や人件費の高騰などで2500億円以上に膨らむとの見方が出ており、計画を変更して費用を抑えざるを得なくなりました。
Q もっと早く分からなかったの
A 巨大で複雑な構造の新競技場は当初から難工事が予想され、これまでも一部の建築家が工期と費用の問題点を指摘していました。JSCや所管の文部科学省の見通しの甘さを批判する声もあります。
Q 計画変更は初めてなの
A イラク出身の著名な建築家、ザハ・ハディド氏がデザインした新競技場は、巨大過ぎて周辺の景観を乱し、整備費もかかり過ぎると建築家や市民団体から批判され、JSCは当初案から延べ床面積を約25%縮小し、高さも5メートル低くしました。今回の見直しでは外観は大きく変わりません。ただ、可動席や開閉式屋根などの機能はJSCが掲げる「世界が憧れる次世代型スタジアム」の柱で、五輪招致でアピールした計画から後退することになります。
Q もう心配ないの
A 1964年東京五輪で使われた前の競技場は取り壊しが完了し、新競技場の建設工事は10月に着工する予定ですが、国費以外での財源確保が課題です。頼みの綱がサッカーくじで、現在は収益の5%が国立競技場の改築費に充てられていますが、10%に引き上げるための法改正が検討されています。くじの対象をプロ野球に拡大して売り上げを増やす構想もあります。下村博文(しもむら・はくぶん)文科相は東京都にも500億円の負担を要請しました。
Q 東京都の舛添(ますぞえ)要一知事は反発している
A これまで国やJSCから工期や費用の見通しについて十分な説明がなかったことに不信感を募らせ「もっと情報を発信していくべきだ」と批判しています。都の負担については「納税者を納得させる議論が必要」とし、受け入れるかどうか明言していません。
≪「巨大で景観破壊」の声も≫
新国立競技場は、これまでも入札の不手際で解体工事の着工が遅れたり、景観データの誤りで周囲の反発を招いたりするなど迷走を続けてきた。
文部科学省によると、本体工事も今年に入り設計業者から「工期内に間に合わない」と連絡があった。大詰めの議論の中で初めて明らかになったといい、見通しの甘さが露呈した。
解体工事の入札の不手際は昨年9月、内閣府の政府調達苦情検討委員会の指摘で発覚。工事を発注したJSCの職員が、入札額が分かる工事費内訳書を事前に開封したとして、やり直しを求められた。
開封は通常の手続きでは認められず、委員会は「公平性に重大な疑義がある」と指摘。国会では野党から「官製談合の疑い」とまで指摘を受けた。JSCは入札をやり直したが、本格的な解体が始まったのは今年3月と当初計画より大幅にずれ込んだ。
また、昨年6月には基本設計で示した競技場の高さに関するデータに誤りが見つかり、JSCが発表資料を訂正。新国立競技場は「巨大で景観を破壊する」と反対の声が根強く、「計画を乱暴に進めようとする姿勢の表れ」と批判の声を強める要因にもなった。(SANKEI EXPRESS)