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コーヒーにぴったり ドイツ流の味 ケーキ工房ケテル
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パイのサクサク感と、コーヒー、チョコ、バターの3種のクリームが上品な味わいを醸す「ロザーヌカフェ」=2015年5月12日、京都市中京区(志儀駒貴撮影)
京都を代表する老舗喫茶店チェーンで、全国に多くの固定ファンがいる「イノダコーヒー」が昨年9月、本店の南西すぐの場所にオープンさせたケーキ専門店が「ケーキ工房ケテル」だ。イノダコーヒーで楽しめるものはもちろん、ここでしか提供していないオリジナルのケーキなども購入できるとあって、地元の京都人をはじめ、全国のイノダファンからも徐々に注目を集め始めている。
店名の「ケテル」とは、創業者のドイツ人、カール・ケテル氏のことだ。第一次世界大戦後、日本で捕虜生活を強いられたが、釈放後、本国に帰国せず東京・銀座でドイツ料理店を開業。ハムやソーセージ、ケーキといった本格的なドイツ料理を提供し、人気を博した。
しかし1980年代にお店をたたむことになり店名やレシピ、ケーキ職人をイノダが引き継いでいた。
そんななか「本店向かいの駐車場で20年近く稼働していたケーキ工場が手狭になり、対策を講じたところ、本店の近くにちょうど良い広さの土地があったため、工場をこちらに移転させたのですが、六角通に面した土地なので裏を工場、表を店舗にした」(西田浩工場長)のだという。
というわけで、このお店では、約90年の歴史を持つカール氏から受け継ぐドイツ源流のレシピで作ったケーキが、作りたての状態でテークアウトできる。さらにそのケーキの特徴は「イノダではコーヒーとケーキをセットでご注文されるお客さまが非常に多いことから、コーヒーに合うものをご提供できること」だという。
工場ではイノダで提供するものも含め15種類以上を製造しているが、このお店ではこのうち常時10種類は購入可能で、このうち「日によって変わりますが、4、5種類はここでしか買えない独自アイテム」という。
実際、どの商品も奇をてらうことなくドイツ菓子の基本にのっとって忠実かつ丁寧に作られており、万人受けする質の高さが多くの人々に受けており「地元の京都人をはじめ『イノダで食べたケーキを自宅でも食べたい』と、遠方からご来店されるファンも増えている」のだとか。
確かに、パイ生地をベースに、コーヒーに合うようにと、コーヒークリームとチョコクリーム、バタークリームをふんだんに使った「ロザーヌカフェ」(480円)や、生地やクリームにコーヒーを使った「ムラングシャンティ」(480円)のように、材料にコーヒーを使った商品は、家庭でもティータイムにコーヒーと一緒にいただくとおいしさが倍増する感じ。
また「ザッハトルテ」(480円)も「チョコを日本風に軟らかくすることはせず、本場オーストリアで提供されるものと同様の固さで提供しており、うちでは熱した包丁で切り分けているほど」と胸を張る。
そして1番人気の「シュークリーム」(280円)は、ラードを使ったソフトな生地にカスタードクリームと生クリームをふんだんに使った重さ200グラムのボリューム感たっぷりのお買い得商品とあって「土・日曜日だと午前中に売り切れる」という人気ぶり。
このほか、ぜいたくにマンゴーを使った「マンゴーロール」(480円)や「若い女性が自分用に買っていく」という手作り感が売りの「コーヒーガレット」や「ゴマガレット」(いずれも500円)といったクッキー類も充実している。
西田工場長は「地元のみなさんに愛される店づくりを心がけるとともに、アンテナショップとしてみなさんの意見を吸い上げ、イノダでそれを生かしたい」と話している。(文:岡田敏一/撮影:志儀駒貴/SANKEI EXPRESS)
※価格はすべて税込み。