SankeiBiz for mobile

美意識に満ちたアートロック 雨のパレード

ニュースカテゴリ:EX CONTENTSのエンタメ

美意識に満ちたアートロック 雨のパレード

更新

4人組のバンド、雨のパレード。(写真左から)大澤実音穂(D)、是永亮祐(B)、福永浩平(Vo)、山崎康介(G、提供写真)  雨のパレードの音楽をペイントに例えるなら、気に入った絵の具から描くのではなく、見つけた素材をサウンドに溶かし、絵の具となる音色を作ってからサウンドスケープを描き出す、といった作風だろうか。最新作『new place』の曲「夜の匂い」についてギター担当の山崎康介は「最初に弾いていた環境音的なものがありきたりだったので、レコーディングの時にはスタジオにあったブラシで弦をこすって弾いていました。途中、髪の毛にも移って(笑)。今回はスライサーも使ったし、ギターのアプローチ以外の音に聴かせられるようなものをうまく生かせたかな、とは思います」と話している。

 ひらめきから生まれた和音やタッピングを駆使し、ユニークな響きやベースラインを奏でる是永亮祐、クラシックの素養を持った大澤実音穂のドラムもそこへ加わり、“テン年代のアートロック”と呼ぶにふさわしい美意識に満ちた音楽空間を描いていく。そして最新作の聴き心地がいいのは、過去2作に見られた実験的要素よりも「ライブ感を意識して制作しました」と大澤が話すように、躍動感にあふれているため。アルバムタイトルそのまま、斬新な音世界に福永浩平のシルキーな声の美しさが重なって高揚していく。

 遠慮のない歌詞

 表題曲「new place」のように、“僕には見えないあなたの過去の/どこかが少し狂っていたって/ここではきっと何でもないと思えるはず”という前を向いた歌があるかと思うと、“どうせあなたの中身は空洞なんでしょ?/僕が針で軽く刺せば/まぬけな音を立てて破裂しちゃうんでしょ?”といった自己満足な人物に対して皮肉を込めた「bam」、恋愛相手に痛烈な言葉を投げ掛けた「僕≠僕」といった歌もある。多彩なサウンドは体を、遠慮のない歌詞は心を揺らしていく。

 「歌詞の書き方が変わってきました。曲から僕のことも知ってもらって、より近い存在になりたいという感じでしょうか」と、福永は話す。

 ステージでは上手にドラム、下手にベース、奥にギターが位置し、その中央が福永の舞台となって、第1章、第2章といった形でパフォーマンスが進められる。しかも他にジュエリーデザイナーなど3人を加えた、計7人の創造集団“雨のパレード”としても活動中という。異彩を放つ彼らの音楽性、その活動に注目してほしい。(音楽ジャーナリスト 伊藤なつみ/SANKEI EXPRESS

 ■雨のパレード 鹿児島から上京した福永、大澤、山崎が、東京で是永と知り合い、2013年に結成。自主制作盤のミニアルバム『Petrichor』、残響レーベルからのミニアルバム『sense』に続き、本作が3作目。インディーズバンドゆえのこだわりの強さが楽曲やビジュアル面にも反映され、自主企画イベントも人気。最新曲「new place」のミュージックビデオも話題。7月には全国8カ所でリリースツアーを行う。

ランキング