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【花緑の「世界はまるで落語」】(39) 28年ぶり丸刈りのワケは
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「五代目小さんさんに似てますね」といわれてニッコリ(柳家花緑さん提供) つい先日、髪をバッサリ切りまして、とても新鮮な姿に生まれ変わりました! 前座の時以来の丸刈りですから28年ぶりです。
いつも私の髪を切ってくれている美容室Roopsの代表で美容師の上妻正人(こうづま・まさと)さんにお願いをして、いつもと違うスタイルにカットしていただきました。驚いたのはバリカンを一切使わずにハサミだけで仕上げていくんですね。頭の形を見ながらチョキチョキ、チョキチョキ実に丁寧に慎重に、まるで上等な盆栽になったような心持ち。鏡に映る自分の姿は、よく似た他人に見えました。だから切って3日間は慣れませんでした。家の鏡に映る自分を見る度に「アッ!」とちょっと驚いておりましたが、4日目の朝から「そう、この顔がオレ!」という感じで驚かなくなりました。そしたら、先日放送になった長髪な自分の落語の高座姿をテレビで見て「ナガッ!」と驚きました。何なんでしょうね? この、見慣れたもの以外に違和感を覚える意識というのは。
そしてFacebook&Twitterに投稿したところ、皆さんから似合う似合うと言っていただき、「落語家さんらしくなりましたね!」という感想が何人かありまして、そうですね…確かに今まで落語家さんらしくはなかったですねと思い「こっちの方がいいです!」もあり、前の髪の毛に戻せない心境になり、「10歳は若返りましたね!」もかなり言われ、別に若返る必要もないんですがと思い。高座へ上がると「どうしたんですか? 何かやらかしたんですか?」と心配をされている状態です。
今回気まぐれで髪形を変えたわけではなく、実は夏にお芝居に出演をするためです。「南の島に雪が降る」。このお芝居は名優、加東大介さんがご自身の戦争体験を本にまとめ、それがテレビドラマとなり映画にもなりお芝居でも繰り返し上演されている、とても人気の高い、笑いあり涙ありの感動作です。私はそのお芝居で加東大介さんをやらせていただきます。つまり今回主演、座長公演ということになりました。落語家でありながら、大好きなお芝居に参加するようになって15年。初めての座長です。うれしいです。
私にとって落語がホーム。お芝居はアウェー空間なんですが、この節だいぶお芝居もホームに感じるようになりました。ですから、図々しいんですが心配や緊張よりもワクワクと楽しみの方が今は勝っております。
稽古が6日から。本番は8月6日が初日です。東京、名古屋、福岡、大阪と続きます。もちろんその期間は落語はお休みをいただき、お芝居に邁進(まいしん)します。
今回の企画は名古屋の中日劇場さんの開場50周年の記念の舞台。戦後70年の節目もあり、加東大介さんを追体験させていただきます。極限状態で諦めずに、真剣に生き抜いた日本人の姿を描いていきたいと思います。
そして、もう一つ今回の楽しみは共演者。元宝塚歌劇団、宙組トップスターの大和悠河さん。オランダ宣教師の娘と加東大介の妻の2役を演じていただきます。川崎麻世さん、松村雄基さん、柄本時生さん、佐藤正宏さん、酒井敏也さん他、豪華メンバー総勢28人でお届けいたします。
それにしても、丸刈りは楽ですね。洗うのも楽! セットする必要もなくて楽! 暑い夏にもピッタリです。そして私は帽子も好きなので今までセットした髪の毛が崩れるので帽子をかぶることもできませんでしたが、今は以前買ってかぶれなかったキャップをしています。
そして、「師匠の五代目小さんさんに似てますね!」というお客さまからの感想が一番うれしかったかなぁ…。(落語家 柳家花緑/SANKEI EXPRESS