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生き方編 鏡に映し出せないものは一つ それは心
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「IKKO_心の格言200」(IKKO著/エムオン・エンタテインメント、1111円+税、提供写真)
先日、Eテレの「スイッチインタビュー」という番組で、デザイナーの桂由美先生と対談させていただきました。日本のブライダルファッション界の第一人者として、長年にわたって業界をリードされてきた方です。
桂先生は、「美」への発想や考え方が、とても深くていらっしゃり、感動の嵐でした。一つの道を極めた方とお話しすると、共鳴する言葉だったり、新たなキーワードがどんどん出てきます。桂先生との対談は、本当に刺激的で、すばらしい経験でした。
一流の方とのお話しといえば、ある名優さんが、こんなことをおっしゃっていました。「周期的に、自分自身を、自分自身の目で離れた場所から見たくなる」
私はこのお言葉に、衝撃を受けました。「心の等身大は、鏡では映し出せない」-。その核心をずばりと突いたお言葉だったからです。
この年になって、そのことについて、自分なりに「こういうことなのかしら」と深く考えるようになりました。私は、鏡は、心を映し出す道具としては、一番信用してはいけないと思っています。鏡は外見を映し出してくれますが、映せないものが一つだけあります。それは、ありのままの自分。鏡に向かい合うときって、どうしても自分をよく見せようとしてしまいますから。人はみな、不満そうな顔をすることがあります。「その顔を鏡に映してごらんなさい」と言われても、不満な顔のまま鏡に向かう人はいません。どうしても、取り繕った顔になってしまいますね。鏡はときには、ウソを映し出してしまう。
自分の理想を確認するために鏡に向かい合うのは、それはそれでとても重要なことです。でも、気が抜けているときの自分を遠くから眺めるもう一人の自分がいるとしたら、それはすばらしいことだと思うのです。
一流の方とお会いして思うのは、もう一人の自分がいて、鏡には映し出せない、深い部分での自分を、俯瞰(ふかん)で眺めていらっしゃること。それができる人こそが、一つのものを極められるのだなと、学ばされます。一流かどうかは、自分では決められません。周りが決めるからこそ、自分を俯瞰で見ることができなければならない。
一流の極みとは、「一つのものを360度すべての方向から眺められること」なのではないかと思います。世の中にはたくさんの人がいて、それぞれの見方があります。どの人にも納得してもらえるように、一面的な見方で終わってしまうのではなく、あらゆる角度での目線を持たなければならない。
桂先生のドレスも、正面はスッキリしているのに、後ろ姿はなんとも優美。チャペル婚のとき、お客さんの目線はほとんどの時間、花嫁の後ろ姿に集まっていることを計算した上でのデザインなのだそうです。「見せ場は一箇所だけあればいい。それは、バックスタイル」-。まさに、「俯瞰の目」を持った方ならではの発想だと、心が震えました。
美を磨くのは、本物の鏡だけではありません。ときには、「心の目」で、もう一人の、ありのままの自分を見つめてみませんか。
愛を込めて IKKO(美容家 IKKO/SANKEI EXPRESS)