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【ソーシャル・イノベーションの現場から】遊んで、食べて 好奇心持つきっかけに 「海でつながるプロジェクト」始動
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「海でつながるプロジェクト」のキックオフイベントに出席した山谷(やまたに)えり子海洋政策担当相(左から4人目)、川島海荷(うみか)さん(5人目)、笹川陽平日本財団会長(6人目)、石原良純さん(7人目)ら=2015年7月2日、東京都港区(日本財団提供) 「(海は)自分の名前にもありますし、おばあちゃんの家の近くで海水浴をしていた。お魚料理が好きということもあります」
女優で歌手の川島海荷(うみか)さん(21)は、東京都港区の日本財団ビルで2日に開かれた「海でつながるプロジェクト」のキックオフイベントに参加し、海との関わりについてこう話した。
埼玉県で生まれた川島さんにとって、海は身近な存在ではなかったが、名前との縁だけでなく、海で遊び、魚を味わってきた経験を通じて、海への思いを深め、関心を持つようになっていったようだ。
「海でつながるプロジェクト」は、「海の日」をテーマに中央省庁や自治体、民間法人、大学に日本財団も加わった33団体が連携して始めた取り組みだ。プロジェクトのキーワードは「好奇心」。次世代を担う子供たちや若者たちの海への好奇心を喚起することを目的とした取り組みが始まった。
7月20日の「海の日」は、今年で制定から20年目を迎える。「海の恩恵に感謝し、海洋国家の繁栄を祝う」という趣旨で制定され、日本は世界で唯一、「海の日」を国民の祝日とする国になった。この間、人と海の関係にはさまざまな変化が起こってきた。
例えば、日本の漁業生産額は漁獲量の減少を背景に、20年前の約2兆2500億円から2014年には1兆4401億円と3分の2ほどまでに縮小した。
キックオフイベント冒頭の挨拶で日本財団の笹川陽平会長は「海は何も発言しない。私たちの知らないところで静かに、急速に環境が悪化してきている」と述べ、漁業資源減少に危機感を示した。海の中の変化は、私たちにとって、実感を持ちにくく、それゆえに危機感も乏しい。
一方で、夏の海辺に視点を移すと、「海離れ」といわれる状況も進行してきた。例えば、首都圏で多くの海水浴場を有する千葉県では、海の日が制定された1995年に県内の海水浴場を訪れたのは757万5000人だったが、2014年は159万6000人。およそ80%も激減した。夏のレジャーが多様化したためだ。
海を次世代へ引き継ぐためには、多くの人が想像力を高めて、海の中の変化にアンテナを張り出すことが第一歩になる。そのためには、現代のライフスタイルを勘案した上で、多くの人が海に関わる機会を作り、一人一人が海に思いをはせ、好奇心につながる体験を深めることが大切ではないか。
「海でつながるプロジェクト」の一環として日本財団は、全国の自治体や教育機関、NPO、企業などと連携し、21都道府県で56事業(6月末時点)を実施することを決定しており、その数は今後さらに増えていく予定だ。各地域がそれぞれの特色を生かしながら、海をテーマに食やスポーツ、芸術・文化、学校教育などを組み合わせ、多様な活動を計画している。
川島さんのように、海へ関心を持つきっかけは「海へ行くこと」に限らない。おいしい魚を食べることもきっかけの一つ。そして、その魚が運ばれてきた経路に、魚が生息する海の中の「今」に思いをはせることができたなら、そこから海との関係は少しずつ変わっていくかもしれない。
具体的な取り組みについては、「海でつながるプロジェクト」のウェブサイト(uminohi.jp)で。この夏、まずは楽しむことから、海とのつながりを見つけてほしい。(日本財団 青木透/SANKEI EXPRESS)