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前向きな気持ち忘れず 笑顔で現場へ 女優 三根梓さんインタビュー

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前向きな気持ち忘れず 笑顔で現場へ 女優 三根梓さんインタビュー

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映画「海のふた」(豊島圭介監督)への出演を通して、自分の内面もまた一皮むけた三根梓(みね・あずさ)さん(テンカラット提供)  □映画「海のふた」

 目標を立てたらコツコツと努力を続け実現へと邁進(まいしん)していく頑張り屋だ。中学時代、映画館で「いま、会いにゆきます」(2004年、土井裕泰監督)を鑑賞した三根梓(みね・あずさ、23)は、感極まって人目をはばからず涙を流した後、「主演の竹内結子さんのように映画やドラマを見た人たちに感動を与えることができる仕事がしたい」と本気で考えるようになった。

 両親に自分の強い意志を伝え、承諾を得た後、まずは福岡県のモデル事務所に所属し、夢への地ならしを始めた。高校生となり東京へ活躍の場を広げたくなると、猛勉強をスタート。現役で早稲田大政治経済学部に合格を果たし、晴れて全国区の女優になるための“足場”をしっかりと固めた。

 「海のふた」出演 充実感と感動

 そんな三根が、2本目の映画出演作「海のふた」(豊島圭介監督)で舞台回しとなるキーパーソンを務め、顔にも心にも大きな傷を持った、複雑な過去に苦しむ少女-という難役に挑んだ。原作は、西伊豆の寂れた港町を舞台とする作家、よしもとばなな(50)の同名小説。

 《東京で舞台美術の仕事に取り組んでいたまり(菊池亜希子)は「私には向いていない」と見切りをつけ、故郷の西伊豆へ戻ってかき氷屋を立ち上げることに決めた。母親からは「友達の娘で、祖母を亡くしたばかりのはじめ(三根)の面倒を見てほしい」と頼まれたので、開店準備を手伝ってもらうことにしたが…》

 すでに1度、映画で主演を張った経験があるとはいえ、劇場の大きなスクリーンで自分の出演作を鑑賞するのはさぞ爽快な気分だろう。三根は「合計2度、作品を見ましたが、最初は『映画が完成したんだ!』という充実感と感動が胸にぐっとくるばかりで、じっくりと冷静に鑑賞はできませんでした」と緊張の面持ちで振り返った。

 「はじめちゃんノート」で役作り

 役作りには最後まで苦しんだといっても過言ではなかったらしい。「原作と台本を何度も読み込みながら、『はじめちゃんノート』なるものを初めて作って、私が考えるはじめの性格、感じ方、考え方をどんどん書き込んでいったのです。

 例えば、『かげりがある』とか、『まりちゃんのたくましさや格好良さにあこがれている』とかですね。ごく些細(ささい)なことでも気づいたことを記していきました」。ノートに書き込んではみたものの、どうしても自分の中に具体的なはじめ像を結ばず、ストンと落ちないときもしばしばあり、そんなときは「現場に行ってつかむしかない」と覚悟を決めた。演技の中で菊池とやりとりを重ね、監督にも疑問をぶつける中で、少しずつはじめの心理を掘り下げていくことができたという。

 三根が新鮮に感じたというはじめの性格とはどんな部分だろう。「はじめちゃんは初めて目にするものに清らかなまなざしを向けることができる。私とは似ていない部分です。例えば、海でサンゴの欠片(かけら)を見つけたとき、はじめちゃんは『まりちゃん、何これ?』と質問した後、わざわざ自宅に持って帰ってしまう。彼女が見せる子供のような純粋さは、私がちょっと忘れかけていたもので、演じていてすてきだと感じました。はじめちゃんのような気持ちも大切にしよう-と思わせてくれましたね」

 仕事観見直すきっかけにも

 寂れた町であえて素朴な生き方を選んだまりの決意に触れることで、三根は自分の仕事観を改めて見つめ直すことにもなったようだ。

 「自分が暗い気持ちになってしまうと周囲も暗くさせてしまう。明るく元気に話すことが大切だと感じています。笑顔で撮影現場にいる方が、自分も、みんなも高いモチベーションで仕事に臨めるし、楽しく仕事ができる。結果的に、いい作品ができるような気がするんです。壁にぶつかって悩んだり、不安に思うことも多いですが、いつでも前向きな気持ちを忘れずに、『また会いたいな』と思ってもらえるような女優でありたいですね」。東京・新宿武蔵野館ほかで公開中。(高橋天地(たかくに)/SANKEI EXPRESS

 ■みね・あずさ 1991年12月21日、佐賀県嬉野市生まれ。non-noの専属モデルを経て、映画デビュー作となった2012年「シグナル~月曜日のルカ~」で初主演。テレビでは、12年「死と彼女とぼく」(テレビ朝日系、主演)、13年「八重の桜」(NHK)、14年「ダンナ様はFBI~愛のミッション~」(NHKーBS)など。嬉野市観光大使にも任命された。

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