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政治
【Q&A】TPP合意見送り 新薬で米豪譲らず 牛・豚肉など進展
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交渉参加12カ国の閣僚らと共同記者会見するマイケル・フロマン米通商代表(右)。左は甘利明(あまり・あきら)TPP(環太平洋経済的連携協定)担当相=2015年7月31日、米ハワイ州ラハイナ(共同) 大筋合意への機運が高まっていた環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉の閣僚会合は、医薬品や乳製品をめぐり対立が続き、まとまりませんでした。一方、牛・豚肉、ワインなどの関税などでは進展がありました。
Q 医薬品の知的財産で難航しましたね
A 新しい薬の開発に関するデータを、他の製薬会社などが勝手に使えないように定める期間が焦点です。巨大な製薬産業を抱える米国は12年、安いジェネリック医薬品(後発薬)をもっと使いたいオーストラリアやニュージーランドは5年程度を主張し、対立しました。期間が長くなると利用者の負担が増えたり、国の医療費がかさんだりするので、譲れません。
Q 著作権保護は固まったのですか
A 米国に合わせ、小説やマンガなどの作者の死後70年は、遺族などに著作権料を支払うことで統一する方向になりました。日本は現行の50年から延長されます。
Q 物品の輸入にかかる関税は
A 各国の主張の間合いが詰まりつつありますが、バターなど乳製品が波乱要因になりました。日本は低関税の輸入枠の設定を提案しましたが、輸出国のニュージーランドは各国に、強硬に輸入拡大を主張しました。交渉筋によると「乳製品の合意がなければ、医薬品の話はできない」と取引材料にし、会合が足踏みしました。
Q 日本政府は牛・豚肉、コメなど重要5項目の保護を掲げてきましたが、どうなっているのですか
A 牛肉の輸入関税は現在の38.5%から協定発効15年目に9%、豚肉の関税は1キロ当たり482円から10年目以降に50円に引き下げる方向で調整しています。コメは、米国向けに主食用約7万トンの、関税がかからない輸入枠を新しく設けることで折り合いたい考えです。小麦は、日本政府が製粉会社に売り渡す際に、輸入価格に上乗せし集める「輸入差益」を半分にする方向です。関税を残すことができますが、譲りすぎだという声も国内から出ています。
Q 重要5項目以外の品目は
A 原則として関税をなくす方向です。ワインの関税は7年かけてゼロに引き下げられる見通しです。鶏肉や水産物の関税も撤廃に向け調整しています。
Q 日本にとって攻めの分野である自動車部品の輸出は
A 日米協議で日本は、自動車部品の関税をすぐに撤廃するよう求めています。対象品目などをめぐり最終調整が続いています。
Q 今回の会合で固まった内容は、次回会合でも引き継がれるのですか
A 基本的には、各国はこれを基に交渉することになります。(共同/SANKEI EXPRESS)
≪NZ、孤立いとわず妥協拒否≫
TPP交渉で「関税ゼロ」の理想を追求してきたニュージーランド。今回の閣僚会合でも乳製品の関税撤廃で譲らず、孤立もいとわなかった。農産物の「聖域」死守を掲げて2013年に後発組として参加した日本は今回、ニュージーランドに妥協を迫る役回りを演じた。
TPPの前身は保護品目が少ないニュージーランドとシンガポール、チリ、ブルネイが06年に締結した自由貿易協定(FTA)の「P4」協定だ。ニュージーランドは、世界最大の乳製品輸出国で、日米などへの輸出増につながらなければ、TPPのメリットが薄れる。
ニュージーランドのグローサー貿易相は交渉序盤から全品目の関税撤廃を要求。多くの例外を設ける日米主導の決着を懸念し「大男たち(日米)が合意をまとめてしまわないか心配だ」と不安を漏らすこともあった。
最後の難関は当初、国有企業改革に反発するマレーシアや、新薬データの保護期間延長に反対するオーストラリアとみられていただけに、土壇場のニュージーランドの抵抗は、関係国にとって予想外だったようだ。(共同/SANKEI EXPRESS)