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幻想的な人生観 ダンスで映し出す 深田恭子、成河 舞台「100万回生きたねこ」
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「恭子ちゃんは芯が強くて好奇心旺盛」「成河(ソンハ)さんは突き進んでいく姿が素晴らしい」と信頼し合う深田恭子さん(左)と成河さん=2015年6月29日、東京都渋谷区(今井正人撮影) ロングセラーの絵本童話「100万回生きたねこ」(講談社)の舞台が再演され、深田恭子(32)と成河(そんは、34)が主演する。コンテンポラリーダンスを軸にイスラエルの新進気鋭のユニットが演出するミュージカルで、2人はダンスの基礎を半年かけて学ぶなど、丁寧に準備を重ねてきた。人生の意味を考えさせられる幻想的な展開で、深田は今回が初舞台、成河も「チャレンジです」と身を引き締める。
「100万回生きたねこ」は佐野洋子原作で、生死をくり返したねこが、白いねこに恋をして、初めて生きる意味を知る物語。1977年の初版から長く読み継がれ、発行部数は200万部を突破した。大人のファンも多い。
舞台化に当たり脚本は3人の若手劇作家(糸井幸之介、戌井昭人(いぬい・あきと)、中屋敷法仁(なかやしき・のりひと))が書いて野田秀樹が監修。演出はイスラエルでダンスカンパニーを主宰、世界的に活躍するインバル・ピントとアブシャロム・ポラックが手がける。2013年の初演では森山未來(みらい)と満島(みつしま)ひかりが主演して高い評価を得た。今回は深田が白いねこ、成河がねこをそれぞれ演じる。
深田、成河とも子供のころに原作を読んだ。だが今回の舞台はコンテンポラリーダンスをベースに幻想的な人生観を映し出し、ねことして、心情的にも身体的にも高い表現力が求められる。初演を見ている成河は「小さい時から踊りと向き合ってきた森山君だからできた。でも僕にできるわけがない。(出演が)決まったときはぞっとしました」と振り返る。
2人は稽古開始までの約半年間、仕事の合間に月1、2回のペースでダンスの基礎レッスンを受けた。
映像が活動の中心だった深田にとっては、全てが新鮮で幸せな時間だったようだ。「すごく遠回りだけどいろんなことを解いてもらった。だからいま、稽古で『こう動いて』といわれることが『こうかな?』とできていく。これだけ時間をかけて作品に向き合えることは今までなかった。この作品で初舞台を踏めるのは幸せ」とほほ笑む。
演出の指示は細かく、1センチ単位の指の動きや、かかとの使い方まで緻密な計算がある。「現代演劇のフィールドで俳優が主張し、切れよく白黒はっきりさせる動きとは真逆。止まらずに動き続ける方が難しく、訓練が必要なのだと思い知った」と成河。舞台では自分なりの役作りを信条としてきたが、今回は全てを委ねる決心をした。
「僕が全然センスの違うものを持ち込んでも迷惑になるだけ。気分は『キュウリの漬物』。どんな味になるか分からないけど、漬け込まれてみたい」
舞台は幻想的で柔らかい雰囲気の中、観客が引き寄せられていくように作られている。それは「意味のある人生とは何か」という、作品の持つ強いメッセージを伝える仕掛けでもある。
「心の痛み、自己愛などいろいろな感情が詰まっている。伝え方は真正面からではないけれど、気がつくと愛にたどり着いている」と深田。「帰りの電車の中で自分の人生を振り返り、先のことを考える。そういうことのために演劇はあるんじゃないのかな」と成河。(文:藤沢志穂子/撮影:今井正人/SANKEI EXPRESS)
8月15~30日、東京芸術劇場プレイハウス。問い合わせはホリプロチケットセンター(電)03・3490・4949。地方公演あり。