カジノやホテル、ビジネスイベント(MICE)など、統合型リゾート(IR)を日本にも誘致しようとの機運が官民で高まっている。その成功例とされるのが、日本からも多くの視察団が訪れているシンガポールの「マリーナ・ベイサンズ」だ。安倍晋三政権の成長戦略の目玉「国家戦略特区」が動き出し、誘致の期待が高まるが、果たして日本でも根付くのか。その将来像を現地で追った。
3月中旬の平日の午後10時過ぎ、マリーナ・ベイサンズのカジノは大勢の観光客で賑わっていた。施設の一画にある4階建て構造で1~2階が一般客向け。広大なフロアはアジア系の観光客で占められ、ディーラーを相手に、バカラやブラックジャックなどの勝負に挑む。雰囲気は明るく、ゲームセンターとも共通している。1人で楽しめるスロットマシンや電子ゲーム機の一画もある。来場者は外国人ばかりではなく、地元シンガポールの住民も相当数を占めるという。3階は得意客向け、4階はVIPフロアとなっており一般客は立ち入り禁止だ。
収益の中核担う
マリーナ・ベイサンズは、米カジノリゾート運営大手ラスベガス・サンズ(ネバダ州)が2010年に開業した。約5000億円を投じた施設は、地上57階建てのビル3棟の上に大型の船が乗る構造で、延べ床面積15.5ヘクタール。