関西から北米に向かうビジネス客は年間約60万人に上るが、約半分が成田、羽田の首都圏空港を利用しているのが実情だ。大きな要因は、関空に就航する北米線の少なさといわれる。関空の国際線は、ピークだった平成11年夏期には北米9都市に就航していたが、撤退が相次ぎ、今ではサンフランシスコの1都市にとどまる。8年には13都市に就航していた欧州線も現在6都市だ。
もともとビジネス客は空港会社や航空会社にとって利益幅が大きい。関空の国際線では外国人利用客が平成26年度上期(4~9月)に過去最高を記録したが、伸びを支えるのはアジアを中心とした訪日外国人観光客だ。ただ、旅行会社が団体・個人旅行を大量購入する観光客向け航空券は単価が低く、薄利多売になる傾向がある。
一方、ビジネス客は割引なしの定価で購入するケースが多く、ファーストクラスやビジネスクラスを利用することも多い。さらに観光客の場合、季節などで浮き沈みが激しく、東日本大震災やSARS(重症急性呼吸器症候群)、鳥インフルエンザといった不測の事態によって利用が大きく減る可能性がある。安定した収益を得るためにはビジネス客の囲い込みは重要なのだ。