東京電力と中部電力の新会社「ジェラ(JERA)」設立発表会見で、社名の入ったボードを持つ左から中部電力の水野明久社長、ジェラ社長に就任する垣見祐二氏、同会長に就任する内藤義博氏、東京電力の広瀬直己社長=15日、東京都千代田区【拡大】
東京電力と中部電力は15日、火力発電・燃料調達事業での包括提携に伴い、折半出資で共同出資会社「JERA(ジェラ)」を30日に東京都中央区に設立すると発表した。東電と中部電を合わせた液化天然ガス(LNG)調達力は世界最大規模の4000万トンとなり、燃料費削減と電気料金の低廉化につなげたい考えだ。しかし福島第1原発事故の賠償責任を負う東電の経営再建がうまくいかなければ、提携が不完全なものとなる恐れもある。
新会社の名称は「JAPAN(日本)」と「ERA(時代)」を組み合わせ、新時代のエネルギー事業者になるとの思いを込めた。社長には中部電の垣見祐二専務執行役員(62)、会長には東電の内藤義博取締役(64)が就任する。当初は両社から集めた計50人程度の体制でスタート。10月から燃料輸送事業、燃料トレーディング事業などを順次統合していき、最終段階となる既存の火力発電設備の統合は2017年春頃をめどに判断する。
中部電は、管内に多数の原発を建てることができなかった事情もあり、火力発電事業が経営の中核を占めている。水野明久社長は会見で「国際競争が激しくなる中、火力発電所まで一体化して効率化することを目指さなければいけない。実現できれば、燃料調達の交渉力を高められる」と強調。ただ「各段階の成果をそれぞれ確認しないといけない」と慎重な姿勢ものぞかせた。中部電は「福島事故を起こした東電が経営の主導権を握り、国が介入してくるなら提携できない」(幹部)との警戒感が強かった。