東京電力が28日発表した2015年3月期の連結決算は、経費削減が奏功し、最終利益が前期比2.9%増の4515億円と、過去最高だった。黒字は2年連続。ただ、コスト削減は火力発電所の修繕先送りといった、一時的な措置に頼る部分が大きい。
柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働に見通しが立たないなか、本格的な業績改善には至っていない。この日、会見した広瀬直己社長は「継続的に黒字にできる状況ではない。原発の再稼働は必要だ」と述べた。
コスト削減は年間8573億円と、当初計画を約2800億円上回り、利益を押し上げた。ただ、火力発電の点検工事の先送りなど修繕費で1578億円ものコストを削減しており、一時的な要因が大きい。
15年3月期の売上高も2.6%増の6兆8024億円と過去最高。燃料価格の動向に応じ電気代を上げ下げする「燃料費調整制度」と、再生可能エネルギーを買い取る費用を電気代に上乗せする「賦課金」の影響で、一時的に電気料金の単価が上昇したため。販売電力量は3.6%減少した。
柏崎刈羽原発6、7号機のうち1基が稼働すれば、月120億~160億円の損益改善効果があるが、東電は現時点で再稼働が見通せないとして、16年3月期の業績予想を未定とした。