2016年3月期の自動車大手7社の研究開発費が合計で前期比6.17%増の2兆7240億円とリーマン・ショック後の最高になった。北米販売の好調や円安を追い風に好業績が続くなか、利益を研究開発に振り向け、燃費性能や安全技術など将来への基盤固めを急ぐ考えだ。
「次世代環境技術の開発や高度運転支援技術の実用化、ロボット事業の強化など新たな成長分野での投資は待ったなしだ」
トヨタ自動車の豊田章男社長は5月の決算会見でこう強調した。トヨタは16年3月期に、過去最高額となる前期比455億円増の1兆500億円の研究開発費を計画している。
14年12月に燃料電池車(FCV)「ミライ」を発売しておりFCVやハイブリッド車(HV)など環境技術の開発を強化する。また15年には無線通信を活用した運転支援技術を一部の新型車に搭載する方針で、関連技術の開発にも投じる考えだ。
新型の環境対応車や海外向けの戦略小型車の開発を進めるホンダは474億円増の7100億円。20年までに市街地や交差点を自動走行できる自動運転技術の導入を目指す日産も239億円増の5300億円と、それぞれリーマン・ショック後では最高の研究開発費を計画している。