2014年以来、混迷を極めたタカタ製インフレーター(エアバッグを膨らませるガス発生装置)を原因とするエアバッグリコール問題が、その責任を誰が担い、原因を生み出したタカタの再建をいかに図るかという出口戦略を模索する段階に入ったと考えられる。しかし、この解決策は容易ではない。
米運輸省の元長官、サミュエル・スキナーを筆頭とする第三者委員会の調査結果に続き、異常破裂の根本原因の調査を受託してきた3つのコンサルティング会社のうち、2社の調査結果が既に発表された。最後の1社も、近く結果が判明しそうだ。当事者のタカタは主要取引先の完成車メーカーとの会合を重ね始め、インフレーターの技術を有するダイセルとの事業提携の検討も始まっている。
根本原因が定かとなり、交換対象インフレーターが明白となれば、残る課題は責任問題の決着と将来を見据えたタカタの再建策となる。
根本原因は、インフレーターに用いられる硝酸アンモニウムと呼ばれる火薬が長期間湿気にさらされる設計・製造上の問題が挙げられた。これは、当初からの疑いを裏付けたものであった。硝酸アンモニウムは湿気を帯びると体積が増え爆発力が増すことはかなり前から指摘されてきたことである。そのため、「デシカント」と呼ばれる乾燥剤を加える対策が09年頃から実施されている。