
高級スポーツ車「GT-R」のエンジンを手組みする「匠」の候補として働く日産自動車横浜工場の大竹由希子さん=横浜市神奈川区宝町の同工場(会田聡撮影)【拡大】
「エンジンの部品を一つ一つ手で組み立てる。やりがいはあるけど、失敗できない怖さも感じます」
日産自動車の高級スポーツ車「GT-R」の心臓部であるV型6気筒ツインターボエンジン。375部品を1000分の1ミリ単位で調整し、手で組み立てる熟練技能者「匠(たくみ)」の候補に2月に選ばれた。横浜工場(横浜市)で働く約2900人のうち5人のみの匠と肩を並べ、27日に発売する改良モデルの生産に携わる。
日産のお膝元、横浜市で育ち、「小さいころから粘土細工など、もの作りが好きだった」と工業高校の機械科に進んだ。溶接や旋盤を学び、平成20年に同工場に就職した。
通常のエンジンは生産ラインの工程別に担当者を配置するが、GT-Rはクリーンルームで匠が1人で全工程を担い、約9時間かけて1基を仕上げる。入社当初は「特別な雰囲気で自分には無理だと思っていた」。