
鎌倉投信が年2回、開いている運用報告会=神奈川県鎌倉市(同社提供)【拡大】
投資家から集めたお金を一つにまとめ、そこから株式などの有価証 券に投資し、その運用の成果を投資家に還元するのが投資信託。独立系投信委託の鎌倉投信が運用・販売する公募型投資信託「結い2101」は、業績に目を向けがちな既存の投資信託とは一線を画し、「日本にとって必要とされる会社」などの基準によって厳選した“いい会社”に投資するというユニークな方針を貫いている。
鎌倉投信が考える、いい会社とは何か。鎌田恭幸社長は、日本にとって必要とされる会社のほか「持続的で豊かな社会を実現できる会社、本業を通じて社会に貢献できる会社」と説明する。経済的利益だけでなく顧客や社員とその家族、株主といったステークホルダー(利害関係者)、地域や自然なども大切にする企業を指すという。
投資先企業の有価証券報告書などの資料に加え、企業トップや現場で働く社員への面談なども踏まえ、「人」「共生」「匠」といったキーワードを基に作成した約40項目にわたる評価指標から、投資の可否を判断する。
2010年3月に立ち上げた結い2101は、現在60社に投資している。上場企業が大半だが、森林再生を手掛けるトビムシ(東京都国分寺市)、途上国支援を手掛けるマザーハウス(同台東区)、さまざまな資源リサイクルに取り組む日本環境設計(同千代田区)など、非上場企業6社にも投資している。
通常、非上場企業への投資の場合、利益を確定させるために新規株式公開(IPO)時に株式を売却することが多いが、鎌倉投信は投資先企業への継続的な支援を運用目的にしていることから、「上場を投資の前提にはしない」(鎌田社長)という考えだ。