フィリピンでバッグ生産 生活向上に貢献 スルシィ・関谷里美社長 (1/2ページ)


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  • ラフィア糸でバッグを手編みする20~60代の女性。子育てや家事をこなしながら働ける=フィリピン・セブ島

 熱帯の国、フィリピンの風景を彩るヤシの一種「ラフィア」の繊維を手編みして作るバッグを販売するスルシィ。働く場のない現地の女性に基礎から技術を指導し、有名百貨店で取り扱われるブランドを育て上げた。公正な価格で商品を取引する「フェアトレード」によって、自立支援と天然資源の有効活用に寄与するだけでなく、基金を積み立てて医療や教育など地域社会の生活レベル向上にも貢献している。社長の関谷里美さんは貧困地域の住民が働き続けられる環境を整え、「持続可能なものづくり」を推し進める。

 ◆顔の見える商品

 バッグは関谷さんがデザインし、すべて現地でラフィア糸で手編みしている。天然素材の風合いを生かして、シンプルでありながら模様や形状に工夫を凝らした「大人かわいい」商品に仕上げた。軽くて耐久性もあり、通勤のほか休日の外出など幅広く活用できる。

 商品の一つ一つに生産者の直筆サイン入りのタグを取り付ける。自ら店頭で販売するときには「この編み子さんは幼い子供4人のお母さんです」など、顔の見える商品として付加価値をアピールする。そのことによって消費者から「大切に使います」と強い愛着を持ってもらえるからだ。

 東京・青山で輸入猫グッズの雑貨店を営み、メディアでもたびたび紹介される人気店だった。創業から25年たったころ、一通りやり終えたという達成感から「次のことに踏み出そう」と店を畳む。何をするか決めていなかったが、息抜きに訪れたフィリピンのリゾート地セブ島での出来事が第2の起業につながる。

 何気なく土産物屋に入ると、手作りのバッグが非常に安い値段で売られていた。長年の雑貨店経営の経験から、生産者の実入りは少ないことが想像できた。帰国後もこのことが頭にこびり付いて離れない。「現地でバッグを作ってもらうフェアトレードビジネスを立ち上げて、自立支援に貢献しよう」と思い立った。