ただ、全ての企業や業種が同様の対応をとるのは難しい。先行して導入した企業も、さまざまな工夫でハードルを乗り越えている。
英蘭日用品大手、ユニリーバの日本法人では毎週月曜日に、上司が部下の前週の勤務状況をチェックする。工場を除く全社員に在宅勤務を認める同社の労務管理は、基本的に「性善説に基づいた自己申告」だ。超過勤務が続けば優先順位の低い仕事を減らし、業務配分を見直すよう促すなど、管理職の負担は少なくない。
「働き過ぎていないか、業務が順調に進んでいるか-など、今まで以上に上司の資質と管理能力が問われる」とアシスタントコミュニケーションマネジャーの新名司はいう。
リクルートワークス研究所の調査によると、働く場所を「選べた人」と「選べなかった人」を比較した場合、女性は「選べた人」の方が平均2時間、労働時間が短かった。
一方、男性の場合、両者に明確な差がなく、「選べた人」では労働時間超過と時間不足の二極化が鮮明になったという。
主任研究員の萩原牧子は「育児や介護などの制約がない男性の場合、在宅勤務をすれば、際限なく働く危険性がある」と指摘する。