【山本隆三の快刀乱麻】かつては日本が世界一だった… EV拡大で“バッテリー勝者”になった中国 (1/4ページ)

テスラがパナソニックと共同で運営する米ネバダ州の電池工場「ギガファクトリー」(テスラ提供・共同)
テスラがパナソニックと共同で運営する米ネバダ州の電池工場「ギガファクトリー」(テスラ提供・共同)【拡大】

 ■20年、EV用製造能力6倍以上に

 リチウムイオン電池の製造といえば、かつて日本が世界一のシェアを保有していた。サンヨー、パナソニック、ソニーなどが生産量の上位企業に名を連ね、2009年の世界シェアでは日本が43%を占めていた。しかし、パソコンや携帯電話に利用されていたリチウムイオン電池の用途が、電気自動車(EV)に拡大し、市場が広がるに連れ、日本は徐々にシェアを失う。サンヨーの事業の大部分はパナソニックに吸収され、ソニーは金融や音楽で着実に稼ぐ会社に変わった。パナソニックは依然、世界一のシェアを確保しているものの、米国のEV、太陽光パネルメーカーのテスラと組んで米国で電池製造を続け、さらにEV用の製造工場を中国・大連に新設している。生産を続けている日本メーカーの主要な生産地は中国に移っており、世界のリチウムイオン電池製造の主体は中国になった。この傾向は世界のEV導入量の増加に伴い、今後加速していく。

 大気汚染問題に悩む中国では、EV導入のための政策支援が行われている。例えば、北京市ではナンバープレートの入手が難しく抽選はいつも高倍率だが、EVであれば、ナンバープレートを低倍率で入手可能だ。すぐに車が必要な人にとっては、充電スタンドが近くにあるのであればEVは有力な選択肢になる。また、今年減額されたものの、購入支援制度は依然ある。

 中国に限らず、米国でも欧州でも、次世代自動車の主体はEVとみられている。高い技術力が必要な燃料電池車(FCV)などを全ての自動車メーカーが手掛けることはできないという自国、自地域の事情を考えれば、比較的簡単に製造が可能なEVは自国産業を成長させるための有力な選択肢となる。裾野が広く、関連産業も多い自動車は多くの国にとって重点産業である。その自動車産業がEV主体に変わるのであれば、電池産業も極めて重要になる。

中国に対抗し、テスラが主導権を握ることは可能か