【早坂礼子の経済ウォッチング】
2月5日午前11時、東京都港区にあるオフィスビルの一室。机の真ん中に木製の箱が置かれ、係員がひとり控えている。独立行政法人・農畜産振興機構によるバター輸入の入札だ。
この日、1120トン分のバターを輸入する権利をめぐって応札したのは6社。1社ひとりずつ順番に入室し、所定の書式に必要事項を書き込んだ用紙を箱に入れて退室する。制限時間は開始から30分だが、全社が紙を入れ終われば解散。係員が箱を開け、最も低い金額を提示した社から順に応札量をコンピューターに入力していく。今回の入札数量の1120トンに達したらそこで打ち切りだ。落札したのは2社で、その内容は同日午後5時に同機構のホームページ上で公表された。
日本は1993年12月に妥結した関税貿易一般協定(GATT)多国間貿易交渉(ウルグアイ・ラウンド)で過去の輸入実績に基づいたカレント・アクセス(CA)分として生乳換算で13万7000トンの乳製品を毎年輸入すると約束し、協定が発効した95年度から実施している。