一方で、乳製品の輸入関税は段階的に自由化が進んでおり、世界貿易機関(WTO)協定でバターはいま29・8%に1キロあたり985円を上乗せした額を払えば国の入札を経なくても輸入できる。ただし985円のうち関税当局に回るのは179円で、残る806円は機構が「上納金」(マークアップ)として徴収する。
機構が税関に回す証明書がないと通関できないしくみになっている。機構を経由するより支払う額が多くなるためこの一般輸入は大量ではないが、それでも国内のファンに応えるためブランドバターを輸入する業者はいる。
こうして機構が得たバターなどの売り渡しで得た金の合計は2013年度で約86億円。これに海外からバターを輸入するために買い入れた金の約63億円を引いた約23億円が「加工原料乳生産者補給金」の一部として国内の酪農家保護に回った。言い換えれば機構は法律(加工原料乳生産者補給金等暫定措置法)で規定された酪農家保護費の徴収機関でもあるのだ。2014年度はまだすべての入札が終了していないが、追加輸入の実施などで「機構から補給金に回る分は全体で100億円を超して過去最高規模になる」(石橋部長)見通しという。