STAP細胞が存在するかを確かめる理化学研究所の検証実験は、初期段階で大きくつまずいた。8月27日に公表された中間報告では、開始から約4カ月たっても細胞を作製できず、存在を肯定する成果は出なかった。理研は「白黒つける」として来春まで実験を続けるが、存在の証明は現時点では難しい状況だ。
「接着」半分以下
STAP細胞は、マウスの体の細胞を弱酸性の溶液に浸すだけで作製できる新型の万能細胞とされた。小保方晴子(おぼかた・はるこ)氏らが発表したSTAP論文(撤回済み)の作製法では、まず酸性溶液に浸した細胞で、万能性の指標となる遺伝子が働いているかを調べた。
検証チームはこれに沿って、万能性の遺伝子が機能すると細胞が緑色に光るよう遺伝子操作したマウスを用意。生後1週間のマウスの脾臓(ひぞう)からリンパ球を取り出し、酸性溶液に浸して細胞が光るか観察した。
22回の実験の結果、光る細胞は一部で見られたものの、万能性遺伝子が働いたことを示す特徴は確認できなかった。発光したケースでは緑色だけでなく、遺伝子の働きでは見られない赤色の光を含んでおり、細胞が自然に発光する別の現象が起きた可能性が高い。