さらにウオールストリートの経済界は、トランプ氏が大統領になっても「金持ち喧嘩(けんか)せず」という大原則に基づいて国家を運営していくことになると安心している。トランプ氏に対する米国内の支持基盤は、知識人、イスラム教徒、黒人、アジア系以外の間では、意外と厚いと筆者は見ている。「異質な人々によって虐げられてきた、本来の米国人に権利を取り戻す」というのが、トランプ氏の基本戦略で、この戦略の魅力を過小評価してはならない。
外交政策において、トランプ氏は孤立主義傾向が強い。中東から手を引く。ロシアや中国との対決姿勢も改める。そのかわり、中南米で米国に従わないベネズエラのように国に対しては、激しい圧力を加えるであろう。
日本との関係でも、駐留なき日米安保という方向にトランプが舵(かじ)を切るかもしれない。その場合、米海兵隊普天間基地も日本から引き揚げることになるので、普天間問題、辺野古問題自体がなくなる。その場合、日本は「自分の国は自分で守る」という本格的な自主国防体制への転換に迫られる。(作家、元外務省主任分析官 佐藤優(まさる)/SANKEI EXPRESS)